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野球クロスロードBACK NUMBER
「中日にセレモニーを要求」と報道されて…平田良介がいま明かす“あの退団会見”の真相 34歳の引退決断は「家族を養っていくことを考えたら…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2023/02/01 11:02
昨年末に現役引退を発表した平田良介。苦しんだ病気との闘い、そして退団会見での“あの騒動”について、Number Webのインタビューで語ってもらった
自分の口から発した平田でさえ、「ホンマに言っちゃったんかな?」と不安になり、信頼できる記者に相談したほどだった。その彼が地元愛知のテレビ局から会見の映像を見せてもらい、「良介は、間違いなく球団にセレモニーを要求するようなことは言ってないよ」と伝えられ安堵した。後日、自身のYouTubeチャンネルとインスタグラムで騒動を起こしてしまったことへの謝罪と、再度、会見での発言の経緯を丁寧に説明しようと決断したのは、そのためでもあった。
「むちゃくちゃな話にされたまま終わらせたくなかったんで。まあ、周りの方たちの印象を悪くしてしまったんで、少しでも良くしていきたいって思ったのはありましたよね」
独立リーグから勧誘も…なぜ引退?
中日を去った平田は、NPBでの現役続行を強調していた。しかし、実際のところは「野球が好きなんで、プレーできればどこでもよかった」のだという。独立リーグ・北九州フェニックスの監督で、大阪桐蔭の先輩でもある西岡剛から声をかけられるなど、NPB以外ではいくつか勧誘はあった。
それでも平田は、昨年末に現役引退を発表した。矛盾する決断の理由を、こう明かす。
「これからも家族を養っていくことを考えたら、少しでも早く社会人として再スタートしたほうがいいんじゃないかって。だから、『年内までにNPBからオファーがなかったら引退しよう』ってなりましたね」
潔くユニフォームを脱いだ平田は、年明けからメディアに出演するなど精力的に活動する。充実した日々は「野球に携わる仕事をたくさんしたいですね」と、弾む口調が物語る。
まだ34歳。現役を退いたことを惜しむ声は多いだろう。つくづく、そう思う。
コロナ禍に病気。プレーヤーとしての晩年は未知の脅威に翻弄された。実力社会だと覚悟してきたとはいえ、志半ばの引退だったのではないか? だから最後に尋ねた。
――悔いは、ありませんか?
「ないです。やり切った感があるんで」
その表情、その言葉。無邪気な平田良介が、そこにいた。
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