スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
箱根駅伝シード落ち→6位復活のウラ側…早稲田大・花田監督が思い出す“瀬古さんのダメ出し”「それじゃ、足りないんじゃないか?」
posted2023/01/24 17:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Yuki Suenaga
早稲田 is Back!!
箱根駅伝6位。とはいっても、それは派手な形ではなく、粛々と進められた印象だ。
昨年6月、母校の監督に就任した花田勝彦氏はこう話す。
「実力的には7、8位くらいという読みでした。もしも、上位が崩れるようなことがあれば5位に入れるかもしれない――という予測を立てていました」
取材に向かうと、待っていたのは花田監督のPCだった。外部の人間が滅多に見られないデータを見せてくれた。
「レース前、区間ごとに基準となるタイムを設定しますが、上方に振れた場合と、下方に振れた場合のタイムも想定しておくんです」
今年の早稲田の場合、総合タイムのターゲットは10時間53分30秒だった。
「上方に振れた場合、10時間51分台前半、下方に振れた場合は10時間56分くらいまでを考えていました。そして実際は、10時間55分21秒でした。想定の範囲内に収まったわけですが、1区が極端なスローペースになったことも影響しているので、ほぼ想定通りの走りをしてくれたということです」
「テレビで目立たなかったのは、そういう理由もあります(笑)」
このあと、各区間の想定と実際の走破タイムを見せてくれたのだが、まるで「花田スクール」の生徒になったような気分だった。
驚いたのは、予測と各選手のタイムにほとんどブレがないことだった。たとえば……。
5区 伊藤大志(2年・佐久長聖) 72分00秒→71分49秒
6区 北村光(3年・樹徳) 58分30秒→58分58秒
8区 伊福陽太(2年・洛南) 65分20秒→65分20秒
9区 菖蒲敦司(3年・西京) 69分15秒→69分12秒
10区 菅野雄太(2年・西武学園文理) 70分30秒→70分06秒
この5人は想定の30秒以内の差に収まり、8区の伊福にいたってはそのものズバリのタイムである。花田監督の解説が続く。