最初に“ウワサ”を聞いた時「あるわけないじゃん」

――アルバイトの経験を経て、翌シーズンにメジャーデビュー。昨季は108試合に出場して、打率.228、14本塁打40打点、OPS.788。特にシーズン後半は、出塁率.366、長打率.480、10本塁打を記録するなど、著しい成長を続けています。

クミ　ラーズの試合はすべてテレビなり、現地なりで観戦しました。シーズン中はほぼ毎日あるので刺激的なんですが、打てないときはもう見ていられない……。夕飯食べる気もなくなっちゃいますね。地区優勝したと思ったら、10月はプレーオフがあってずっと落ち着かなくて。でもその時期くらいだったと思います、ラーズから“妙な噂”を聞いたのは。

――日本代表入りの可能性、ですか。

クミ　最初聞いたときは「あるわけないじゃん、WBCだよ？　侍ジャパンだよ？」みたいにまったく信じてなかったんです。本心から。でも11月か12月だったか、栗山（英樹）監督から水原一平通訳を通して電話がかかってきたんです。「（出場資格の確認で）ラーズ選手のお母さまのパスポートについて教えてほしい」と。でも、そのあと連絡がなかったので、「とりあえずの確認だったのかもしれない」と思ったところに、「この日に栗山監督と一平さんとZoomがある」ってラーズから聞かされて、ええええええって（笑）。

栗山監督と水原一平通訳 ©Nanae Suzuki

栗山監督との面談時に…「ラーズがやったんですよ」

――栗山監督とラーズ選手のZoom面談があったんですね。

クミ　そうなんです、そこに一平さんを加えた3人だけの面談でした。でも会話は聞きたいし、ラーズも近くに座っててって言うから。「私に絶対話をふらないでね」って伝えた上で見守ってたんです。

　そしたら面談中、ラーズがやったんですよ……。「お母さん、近くにいるんで話しますか」なんて急に言い出して。私、髪のセットも化粧もなにもしてなかったのに。でもそうなると出ないわけにいかないので、2人で「よろしくお願いします」「出てしまってすみません、すみません、すみません」って言い続けて（笑）。栗山監督からは「こちらこそよろしくお願いします」とご挨拶いただき、一平さんはニコニコ笑って見ていました。今思い出しても、なんて恥ずかしいことを。

――面談中、印象的だった栗山監督の言葉はありますか。

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