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ヌートバー母が明かす“栗山監督とのWBC面談”「髪のセットも化粧もなにも(笑)」飛び入り参加の舞台裏…では父が考える「適正打順」は?
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byGetty Images
posted2023/01/18 11:05
WBC日本代表に選出されたラーズ・ヌートバー。代表入りが決まった“栗山英樹監督とのZoom会談”の舞台裏とは
クミ 「プレッシャーに感じてほしくはないんだけど、ラーズが歴史に残る、国外で生まれた(侍ジャパン)第1号選手になるから」という言葉ですね。そこで改めて気付かされました。そんな大役をラーズが担うんだ……だったら日本で産んでおくべきだったと少し後悔したほど(笑)。
元巨人マイコラスの“日本愛”を聞いて…
――即断したあたり、ラーズ選手にとって日本代表入りは長年の夢だったんでしょうか。
クミ 小さい頃から日本文化に愛着があって、斎藤佑樹さんら06年高校日本代表選手との交流もありましたしね。それに大谷翔平選手ら錚々たるメンバーの中で野球をしたいという思いはあるんじゃないですかね。過去大会を経験したチームメイトからも、「出るべきだ」「WBCはいいぞ」って言われていたみたいで。
中でも元巨人で現カージナルスのマイコラス選手は、今でも大の日本好きらしいんですよ。彼から日本時代の経験を聞いたのも、ラーズが絶対に出場したいって思うようになった一因かも。
――代表入りが決まった時、クミさんの喜びも格別だったのでは。
クミ 本当に夢みたい。今でも信じられないです。日本の両親もすごい興奮して、張り切っちゃってて。毎日いろんな新聞を買い漁って、ラーズの記事をスクラップしてるみたいです。
――似た例だと、カブスのマーカス・ストローマン投手が前回はアメリカ代表として優勝(MVPも獲得)、そして今回は母の生まれたプエルトリコ代表として出場します。
クミ こういうケースがどんどん増えていくと、野球ファンにとって面白いですよね。それに、親としてはやっぱりうれしい……。生まれ育った場所は違えど、自分の出身国の代表として子どもが大会に出場する。なんとも説明がしづらいんですが、言葉にできない喜びがあるものなんです。
母が送った息子への“金言”
――その点、日本生まれアメリカ在住のクミさんだからこそ、初対面も多い日本代表チームに加入するラーズ選手に送れるアドバイスもあるのでは。
クミ ラーズはどんなチーム、コミュニティにも馴染むのだけは早いので、あまり心配はしてません。それに、これはアメリカでは少し珍しいのですが、「時間厳守」「気持ちのいい挨拶」は子どもたちにいつもうるさく言い聞かせてきたので。
最近伝えたことだと、日本は和を大切にする文化。郷に入れば郷に従え、じゃないですが、現地のしきたりに合わせること。自分が今までやってきたことでも、異国では受け入れられないこともある。日本のしきたりに慣れなきゃ駄目よ、って言いました。
「理想打順は?」父が語る“選手としての特長”
――アマチュア野球選手のインストラクターでもあるお父さま・チャーリーさんにうかがいます。ずばりラーズ選手の、プレーヤーとしての特長は。