「今できることに集中するしかないと思ってます。同じことをやっても、結果が出た時だけそのプロセスは肯定される。そういう意味では試合にじゅうぶんに出られていないから、今の自分も否定しなきゃいけないんだけど…。ただこれまで色んな選択をしてきたなかで、その選択自体を後悔したことはないんですよね。それは選択してきた道で常にやれることを100%やってきた自信があるから。だから次の選択をどうするか、今の自分が何をすべきなのかを考えて行動することの繰り返し。だから今この状況でも、後悔は何もないですよ」

　結果を出した時しかそのプロセスを誰も見てくれないからと、まだ見ぬその時に備え今は人知れず努力を重ねる時期だ。

バイエルン・ミュンヘンのトレーニング風景　©︎Getty Images

なでしこジャパンが見習うのはモロッコ？

　ワールドカップの話に花を咲かせながら、熊谷は話さずにはいられないとあるチームに言及した。

「モロッコ見ました？　あのチームはなでしこも見習わないといけない。ハードワークすごかったですよ。私たちもあれだけの試合を見せられるように、ひたすら走り込むトレーニングとかした方がいいかもしれない……。好きじゃあないけれど。いや、でも勝つためならなんだってしたいし、勝てるなら喜んでやりますよ」

　FIFA女子ワールドカップが開催される約半年後、日本を再びサッカーで歓喜の渦に巻き込むために、やりうることは全てするつもりだ。今はまだ誰も自分たちのことを見ていなくとも、奇跡の裏付けを作る熊谷の日々はもう始まっている。

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