箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
<箱根駅伝4位>走れなかったキャプテンのために…国学院大監督も涙、下級生が見た主将・中西大翔の背中「大翔さんを胴上げして、泣かせたかった…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/01/10 11:02
出雲駅伝では4区で区間賞を獲得した中西大翔。キャプテンとして監督、部員から絶大な信頼を得ていたが、年末に身体が悲鳴をあげ…
上原は、中西の声に気持ちをたぎらせ、区間6位と好走し、順位を4位から3位に上げた。中西は、上原が応援に気づいてくれて、ホッとしたという。
大翔さんに申し訳ない気持ちでいっぱい
一方、山本はレース後悔しそうな表情を見せた。
山本は2年連続の3区だったが今回は1年時の1時間1分59秒よりも8秒遅い、1時間2分7秒に終わった。コースを知る優位性や中西の最後だという想いを結果に反映できなかった。
「大翔さんが出れないとなった時、落ち込んでいる選手が多かったんですけど、逆に『大翔さんのために』と団結して臨むことができました。今年の国学大は、大翔さんがすべて作ってくれたので恩返しをしたいと、みんな思っていたんです。僕も区間賞を獲らないといけなかったんですけど、届かなくて……ほんと悔しいですし、大翔さんに申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
キャプテンを泣かすことはできなかったが、新シーズンは「外さない男」として年間通して活躍し、“中西越え”することを山本は自分に課している。それが中西への恩返しだと考えているからだ。
中西が「自分のせい」と前田監督に謝ると…
中西は、レース後、あえて暗い表情をしないよう努めているふうに見えた。
31日の朝、箱根断念を決めた時は、前田康弘監督とともに涙を流した。「なんで最後に」と、やり切れない思いを抱えて気持ちの整理がつかなかったが、キャプテンである自分が塞ぎこんでいるわけにはいかない。箱根を走れない責任を感じつつ、サポートに回り、選手たちが力を出し切る姿を見守った。だが、届かなかった結果を見れば自分の欠場がチームに影響したことは明確だった。
責任を感じた中西は、レース後、前田監督にこう伝えた。