箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
<箱根駅伝4位>走れなかったキャプテンのために…国学院大監督も涙、下級生が見た主将・中西大翔の背中「大翔さんを胴上げして、泣かせたかった…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/01/10 11:02
出雲駅伝では4区で区間賞を獲得した中西大翔。キャプテンとして監督、部員から絶大な信頼を得ていたが、年末に身体が悲鳴をあげ…
「大翔さんからは、いろいろ学びましたが、特にコンディションの合わせ方ですね。少し落ちてしまっていてもルーティンをこなしつつ、治療院などで調整し、試合に完璧に合わせてくるんです。しかもレースでは外さないじゃないですか。普段はいろいろ言うタイプではなく、背中で引っ張ってくれる先輩で、しかも優しく、強いので、自分も大翔さんみたいになりたいとずっと思っていました」
背中で俺についてこいよって言っている感じ(平林)
背中で引っ張るキャプテンの強さは、平林も感じていた。
「大翔さんは、背中で俺についてこいよって言っている感じなんです。そういう気持ちが常にあるので、それが結果に繋がっているのかなと僕は解釈しています」
平林は福井県で美方高校時代から同じ北陸出身の中西(石川県)に世話になっていた。国学大での2年間も一緒に練習をして過ごし、プライベートでは何度も食事に連れていってもらう間柄だ。誕生日の時には、ケーキをもらい、祝ってもらった。中西と一緒に箱根で優勝し、寮の玄関に飾ってある出雲駅伝優勝(2019年時)の新聞をすべて自分たちの活躍によって変えたいと思っていた。
山本も同じ気持ちだった。
「僕は、1年の時、同部屋ですごくお世話になって、箱根では僕が3区、大翔さんが4区で襷を渡すことができたんです。2年目の今シーズンも7月のホクレンのレースの時も全カレも大翔さんと一緒にいて、練習をさせていただきました。12月の甲佐10マイルは大翔さんに勝って箱根へと思ったんですが、最後はガーンと抜かれて負けてしまったんです。悔しさはあったんですが、楽しかった。大翔さんとは走りで繋がっている感じがしましたし、すごく影響を受けました。だから、箱根で勝って、大翔さんを胴上げして、泣かせたかったんです」
中西は、国学大の中で4本柱と言われたうちの2人にこれだけの影響を与えつつ、チームを牽引してきた。
箱根1区を務めたルーキー青木も「自分が目指すべき人」
今年のルーキーも中西の影響を色濃く受けていた。
出雲で1区7位、全日本5区区間賞を獲る走りを見せた青木瑠郁(1年)はその1人だ。