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<箱根駅伝4位>走れなかったキャプテンのために…国学院大監督も涙、下級生が見た主将・中西大翔の背中「大翔さんを胴上げして、泣かせたかった…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/01/10 11:02
出雲駅伝では4区で区間賞を獲得した中西大翔。キャプテンとして監督、部員から絶大な信頼を得ていたが、年末に身体が悲鳴をあげ…
「大翔さんと一緒に出場した甲佐10マイルで、自分は46分34秒で大翔さんは46分09秒でした。僕とは25秒差でしたが、学生歴代2位の記録でタイム以上の力の差を見せつけられました。いいお手本といいますか、自分が目指すべき人ですし、監督にも大翔さん、歩夢さんはお前とタイプが似ているとよく言われているので、盗めるものは盗んで、いずれふたりに勝ちたいと思っています」
青木は、箱根1区12位ながらトップの明大と32秒差に抑え、役割を果たした。山本に似て、スピードタイプの選手で、メンタルが強く、中西は「上原とともにこれからチームの軸になる選手」と期待している。
大翔さんがいてくれてほんと良かった(箱根7区・上原)
中西から期待する選手として名前が挙がった同じく1年生の上原は、出雲、全日本ともにエントリーされていたが出走できなかった。悔しさを抱える中、上原は同部屋で部屋長の中西に励まされ、練習などで違いを見せ、箱根7区を勝ち取った。結果を出し続ける中西の競技への意識や補強などをこなす姿を間近で見て、影響を受けたのだ。
「この1年間、自分は大翔さんからいろんなことを学びました。だから、箱根では一緒に走って恩返しをしたいと思っていたんです。故障された時、僕はそれでも走れるだろうと思っていたんですが、やっぱり難しくなって……最後の箱根を走れなくなり、大翔さんは涙を流していましたが、ずっと頑張ってきた姿を見ていただけに僕も泣きたくなりました。でも、気持ちを切り替えて、大翔さんを胴上げするために1秒でも早く走るのが自分の役目だと思って走りました」
上原は序盤、緊張もあり、うまくペースをつかめずにいた。それでも走り続け、中間点に差し掛かると部屋長の姿が見えた。「がんばれ!」と声を上げる中西の姿を見て、上原は泣きそうになった。
「自分は、ちょっとキツかった状態だったんですが、そこで大翔さんが声を掛けてくださって。すれ違う時に合図することができましたし、そこから徐々に自分のペースを刻むことができたので、大翔さんがいてくれてほんと良かったです」