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渡邊雄太のNBAネッツが“ジャパンマーケット”を狙う理由とは? 日本代表ホーバスHCも招待「ブルックリンが雄太のホームになりそう」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byKYODO
posted2022/12/07 17:00
ネッツvsウィザーズ戦を訪れた日本代表トム・ホーバスHC(中央)。残念ながら渡邊、八村は共に負傷欠場となったが、NBAのコートサイドで会話する機会に恵まれた
これらのムーブメントは、渡邊自身の活躍があってこそだということは述べておきたい。無保証契約でキャンプ参加が決まっても、当初の渡邊の扱いや注目度は他の若手選手と同等かそれ以下に思えた。メディアデイでも主力選手は1人ずつ会見に対応したのに対し、渡邊は特別扱いされる立場ではなく、少なくない数の日本メディアが訪れていたにもかかわらず、2年目の選手と壇上での時間をシェアしていた。
そんな場所から這い上がり、アピールを続けた背番号18。故障離脱前まで、NBAを代表するスーパースターであるケビン・デュラントとの間に少々意外なケミストリーを生み出すまでになっていた。ブルックリンでも人気選手の1人となったことで、ネッツと日本マーケットをも少しずつ動かそうとしているのだろう。
ご存知の通り、八村の所属するウィザーズもすでに日本語公式サイトを設けるなど日本のファン開拓に力を入れている。こうして渡邊、八村が比較的近い場所でプレーしている今、日本が産んだ2人のベストプレーヤーたちと所属チームがどんな相乗効果を生み出していくかが楽しみである。
「今は3P成功率57%という意味のわからない数字が出てますけど、これはキープできると自分でも思ってないです。 そんなに甘いリーグではない。これからもちろん3Pに関しては厳しくなってくるだろうと思います。ただ、やっぱり高確率で決め続けないことには自分は試合には出られないんです」
そんな渡邊の言葉にもある通り、序盤戦で順調だったからといって、将来が保証されているわけではない。その難しさは2人が揃って故障欠場を続けていることで改めて示された感もあり、渡邊、八村はケガからの復帰後、またプレイヤーとしての価値を示し続けなければならない。新陳代謝の激しい米スポーツ界では毎年多くのムーブメントが生まれるが、それが消えるのも早い。
ただ、そんな難しい世界だからこそ、2人が生き残り続け、輝きを放っていることには大きな価値があるのだろう。その先に、様々な意味で、さらに大きな未来が開けていく可能性も十分あるように思えてくるのである。