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渡邊雄太のNBAネッツが“ジャパンマーケット”を狙う理由とは? 日本代表ホーバスHCも招待「ブルックリンが雄太のホームになりそう」
posted2022/12/07 17:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
KYODO
“世界の首都”と称されるニューヨークの街に日本代表の主要メンバーが揃った。
11月30日、ブルックリンのバークレイズセンターで行われたブルックリン・ネッツ対ワシントン・ウィザーズの試合前のこと。この日、アリーナに足を運び、コートサイドにいたトム・ホーバス日本代表監督の下にまずは八村塁が歩み寄る。その後、渡邊雄太も駆けつけ、3人がしばらく談笑する光景が見られたのだった。
「短い間なのでアドバイスなどしたわけでないですよ。普段のフェイスタイムではなく、(直接対面しての)コミュニケーションを取ったんです。日本代表の試合を見たとか、誰が活躍しているかとか。2人ともデータやスタッツは見てくれていました」
試合後、ホーバス監督がそう述べた通り、その場では何か深いやりとりがあったわけではないはずだ。それでも「雄太と塁が同じアリーナにいるので、来たいな、2人と会いたいなと。短い間でも本当によかったです」と代表指揮官は満足げ。当日は日本人のファンの姿も目立ったアリーナで、日本代表の要になっていくはずのトリオが一堂に会したシーンは壮観ではあった。
コートでの直接対決は叶わず
残念なのは、主役の2選手の出場が叶わなかったことだ。渡邊は右ハムストリングの張りで11月22日(現地時間)以降、八村は右足首のケガで同20日以降、揃って欠場を継続。両者が母国代表監督の前で競演となればさらなる盛り上がりは必至だっただけに、画竜点睛を欠くきらいがあったのは事実ではある。
もっとも、3人は必要以上に落胆しているわけではなく、特に渡邊は試合後に行われた会見の際、ポジティブな言葉を繰り返していたのが印象的だった。
「無理すれば全然出られるぐらいの痛みではあります。ただ、場所が場所なので、これで無理して酷くなった場合、1カ月、2カ月とかのケガになる恐れがある。チームとしてもそのリスクは取れないということです。僕としても今、無理してこの先もっと長い時間を休まなきゃいけなくなるぐらいなら、しっかり治したいと思っています。もちろん試合に出たいですし、せっかく調子もいい時期だったので悔しい気持ちもあるんですけど、あせらずにやっていこうかなと思っています」
復帰後への決意も感じられる言葉の背後には、今季序盤を通じて掴んだ手応えがあるのだろう。無保証のキャンプ契約で2022-23シーズンをスタートさせた渡邊だったが、トレーニングキャンプ、オープン戦での好プレーで存在をアピール。シーズン開幕後もめざましい活躍を続け、その株は急上昇した印象があった。