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「あそこは俺のコース」強気発言も連発、堂安律24歳がそれでも「メンタル強くない」と語る理由「壁に当たった時、唯一の救いは…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/05 12:00
大会前から「優勝」を公言してきた堂安。ゴール同様強気な発言も“連発”の本人だが、メンタルについて聞くと「強くない」と意外な回答が返ってきた
こんなにつらい経験を乗り越えたやつはいないだろう
その自信のベースとなるのは、「人よりもやった」という練習量や辛いことを乗り越えた経験だ。2019年にPSVに移籍し、同年アジアカップ決勝でカタールに負けた後、ビーレフェルトに移籍するまでの2年間、どんなサッカーをしていたのか分からなくなり、自信を失った。そういう時を越えてPSVに戻り、今年フライブルクでフォームを完全に取り戻した。
「ロシアW杯以降に代表に呼んでもらいましたけど、この4年間、この瞬間のためにトレーニングを積んできたし、人よりもつらい経験をして、3月には代表から落選したり、苦しい思いをしながらも乗り越えてきた。こんなにつらい経験を乗り越えたやつはいないだろうということが最後には、自信へと変わったんです」
優勝という目標をやっと皆さんが信じてくれるんじゃないかと思う
苦しんだ末に掴んだ代表の座。そして乗り込んだカタールの地で、堂安は3試合で2ゴールを決め、ベスト16進出に大きく貢献した。ドイツ戦、スペイン戦ともに同点弾を決め、日本に勢いをつけたという点では、ゴールプラスアルファで高く評価されてもいいだろう。あと3点とれば、W杯で通算最多得点の本田圭佑の記録を塗り替えるが、「そこは越えたい」と語る。
チームの目標はベスト8進出だが、堂安のターゲットは、そこよりもはるか上だ。
「このグループを突破すれば僕が大会前に言っていた優勝というのをみなさんが信じてくれると思っていた。僕は冗談抜きで優勝を目指している。やっとそれを皆さんが信じてくれるんじゃないかと思う」
W杯で優勝を目指し、活躍してビッグクラブでプレーするという野心は、プレーヤーなら誰もが持っているが、それを堂安は夢として強く持ち、公言し続けてきた。次の相手クロアチアを打ち破れば、堂安がガンバ時代から描いていた夢の残り半分を実現する可能性も一気に膨らんでいく。
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