サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
三笘薫“奇跡の1ミリ”、あの“証拠写真”を撮影した外国人カメラマンに直撃取材「なぜ撮れた?」「地上50mからニッポンのゴールを待っていた」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byPetr David Josek/AP=AFLO
posted2022/12/05 06:03
VARでの判定が議論を呼ぶ中、ライン上にボールが残っていた決定的瞬間をとらえた1枚。この写真を撮影した本人に話を聞くと…
ヨセク ゴールに迫るシーンで僕のポジションからは「今までで一番遠くにボールが来た!」と瞬時に思いました。“遠く”というのは、このポジションから撮影するにはとても良い距離感という意味で、むしろ真下にある形だと、さきほどのように顔がなかなか映らなかったりする。だから「いいところにボールがきた! ラッキー!」と思って、シャッターを押し続けていました。25番(前田大然)がよく走り込んできたな、と注目していたと思います。
確認する前から「価値ある写真」になっていると想像はしていた
――このシーンの後、前田大然選手は惜しくも届かず、その先にいた三笘選手から田中碧選手へとボールがわたり、ゴールを決めました。ただ、VARでの審議が行われ、ゴールと認定されるまで数分かかりました。その数分間で、ヨセクさんは三笘選手のパスを放ったポイントがラインに入っているかどうか、確証はありましたか?
ヨセク 写真を撮ってはいたけど、速すぎて正直、カメラで追っているだけだと全くわかりませんでした。結局、ライン上にあったという判定が下り、最終的にゴールとなって、自分が撮った写真も、線上にあったことを示す価値ある写真となって、その意味でもラッキーだったなと思っています。
――この三笘選手が“1ミリ残していた”写真を見た時は、どんなふうに感じましたか?
ヨセク もともと写真をチェックする前から、ゴールとなった時点で重要な場面を独自のアングルで捉えられていて、記事に使われる「価値ある写真」になっていると想像はしていました。実際、写真を確認すると、VARの判定通り、「たしかに入っている!」と少し驚きはしました。ただ、付け加えておきたいのは、これは僕のカメラからの視点なので、これだけで結果が決まっているわけではもちろんないし、「正しい」証拠とかではない。あくまで1つの写真なんです。
ヨセクさんが撮った日本の試合は2戦2勝、クロアチア戦は…?
――なるほど。そんな冷静なヨセクさんから見て、クロアチアと日本の試合はどんな戦いになると思いますか?
ヨセク どちらが有利不利などはなく、力は拮抗していると思います。どちらかが一方的に強いとも思わない。
――実はヨセクさんがドイツ対スペインの試合を撮りに行った第2戦、日本はコスタリカに敗れています。このW杯ではヨセクさんが撮りに来た試合だけ、日本は勝っているのですが、クロアチア対日本の試合は撮影に来られますか?
ヨセク いや、それがまだシフトが決まってないんですよ。僕のボスに日本からそういう声があると伝えておきます(笑)。願わくば、また上からの視点で日本の試合を見守りたいし、日本のみなさんにまた僕の写真をお届けできたらいいですね。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。