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三笘薫“奇跡の1ミリ”、あの“証拠写真”を撮影した外国人カメラマンに直撃取材「なぜ撮れた?」「地上50mからニッポンのゴールを待っていた」 

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齋藤裕(NumberWeb編集部)

齋藤裕(NumberWeb編集部)Yu Saitou

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photograph byPetr David Josek/AP=AFLO

posted2022/12/05 06:03

三笘薫“奇跡の1ミリ”、あの“証拠写真”を撮影した外国人カメラマンに直撃取材「なぜ撮れた?」「地上50mからニッポンのゴールを待っていた」<Number Web> photograph by Petr David Josek/AP=AFLO

VARでの判定が議論を呼ぶ中、ライン上にボールが残っていた決定的瞬間をとらえた1枚。この写真を撮影した本人に話を聞くと…

モラタのゴールを撮った前半に感じていたこと

――そうして迎えたスペイン戦、どのようなことを考えていましたか?

ヨセク それは普段とあまり変わらないですね。もちろん世界的に見れば、スペインが人気で、より強いとされていることは知っていたけど、こうなるだろうと決めつけることはなく、キックオフを迎えました。前半、スペインが得点してモラタのゴールシーンとチームメイトから祝福を受けるシーンは、僕のいたポジションのサイドから撮れて、「良かった」とは思いました。ただ、それは自分のポジションの選択が間違っていなかったことへの安堵感からくるものですね。

――試合前半の内容はどう観ていましたか?

ヨセク かなり遠目だし、写真に集中していたから正直ひとりひとりのプレーはそこまで見れていませんでした。ただ、前半で思い出したのは、ドイツ戦のことです。ドイツもこうやって、日本を攻め込みながらもなかなか2得点目が挙げられず、とはいえ勝てるだろうと思われていたところで逆転劇が起きたな、と思い出したりしていました。

なぜ、スペインサイドへ移動しなかった?

――スペインが1点リードでハーフタイムとなり、後半はサイドが替わります。スペインのゴールを狙うとしたら、キャットウォークを歩いて、スペインのゴールサイド(日本のGKがいるサイド)に移動する必要がありますが、このときはどんなことを考えていたんですか?

ヨセク たしかに移動することはできたんですが、僕はそれを選びませんでした。というのもスペインの2得点目と日本の1ゴールと、どちらのほうがより価値があるんだろうと考えてみて……、そうすると、スペインの2得点目のゴールはこの試合を決定づけるものではあるけど、日本のゴールは、同点に追いつくものになるし、ドイツなど他の国の運命も左右するゴールになると思ったんです。そういう価値判断をして、むしろ僕は日本がゴールした場合、それを捉えられたほうが、よりニュース性の高い、つまり重要なゴールになるんじゃないかと思って、ポジションを動かさなかった。日本にヤマを張って、日本のゴールを待っていました。

――とはいえ、スペインが後半たくさんのゴールを決め、前のコスタリカ戦で無得点の日本が再び無得点に終わる可能性もありました。

ヨセク そうなったら、たしかに僕の選択は間違っていたことになる。そして、そうなる可能性もあったとは思います。でも、日本はドイツに対して、逆転勝利という試合を一度やってのけていますよね? そしてそれを僕は見ていたんだ。

1ゴール目は“満足できない1枚”に

――たしかに! 狙い通り、日本の堂安律選手が得点しました。このシーンはファインダー越しにどのように写っていましたか?

ヨセク 彼の左側に誰もいない状態で、左足を振り抜いている瞬間が収められたと思いながらシャッターを押し続けていました。たしかに撮れはしたんですが、彼の背中のみで顔が写っていない。なかなか満足のいく1枚にはなりませんでした。ちょっと、自分の撮る角度からすると真下、“近すぎる”感覚で、上手く合わなかったという感じでした。

――それから数分後、再び日本にチャンスが訪れます。あのシーン、どんなことを考えていたんでしょうか?

【次ページ】 確認する前から「価値ある写真」になっていると想像はしていた

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