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「世界で三笘だけ」筑波大の恩師が明かす“1mmアシスト”三笘薫…陸上関係者を仰天させた話「彼を天才だと言う人もいますが…」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byKichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/04 11:02
三笘薫の筑波大時代の恩師が明かす、“三笘はなぜ日本最大の武器になりえたか?”
「大学生の頃から世界のステージで活躍することをイメージしながら自分と向き合い、着実にレベルアップしてきたから、いまの姿があるんだと思います。ワールドカップを見ていても要所で驚くことはありますが、総じて大きな驚きはないです。長年かけて準備していましたから」(小井土監督)
「彼のことを天才だと言う人もいますが…」
大学卒業後の2020年、下部組織から育ってきた川崎フロンターレに戻り、プロ1年目から新人としては破格の13ゴール、12アシストをマーク。J1優勝に貢献し、年間ベストイレブンも受賞した。大学1年時に掲げた『川崎Fで10ゴール10アシスト』の目標を有言実行し、プロ2年目にはヨーロッパ移籍も実現。これもすべて自己分析シートに書いていたことで、ベルギーのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズを経由し、今季からは世界最高峰、イングランド・プレミアリーグのブライトンでプレーしている。
「世界のトップを目指すサッカー選手にとって、大学で何者になれるか、分からない4年間を過ごすのは、精神的にきついところもあったかもしれません。それでも、目標に近づくためにどうすればいいのか、『なりたい自分』から逆算して努力していました。『すごい』だけではなく、地道に泥臭く一つひとつ壁を乗り越えてきたことも知ってもらえるとうれしいですね。彼のことを天才だと言う人もいますが、私は“自己改善”の天才だと思っています」(小井土監督)
日本代表の中での立ち位置は、もはや確固たるものと言っていいだろう。グループステージでは3試合とも先発メンバーに名を連ねてはいないが、余人をもって代えがたい存在となっている。遠く離れた日本から、サポーターの一人として応援しているという小井土監督は言葉に力を込める。
「大学当初、描いていた『なりたい自分』にはなれていると思います。いまはワールドカップ日本代表の中心選手どころか、キーマンですよね。切り札として、絶対的な一人。決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦も三笘らしいプレーを見せて、日本中を笑顔にさせてほしいです」
最上階が見えない階段を駆け上がる野心家は、カタールでまた一段、二段と上り詰めていくはずだ。
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