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「世界で三笘だけ」筑波大の恩師が明かす“1mmアシスト”三笘薫…陸上関係者を仰天させた話「彼を天才だと言う人もいますが…」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byKichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/04 11:02
三笘薫の筑波大時代の恩師が明かす、“三笘はなぜ日本最大の武器になりえたか?”
「チームに求められている役割を攻守両面において果たせるようになっていますね。ワンランク上の選手になったと思います。ヨーロッパでウイングバックを経験したことも大きかったのかなと。コスタリカ戦ではプレスが少し緩いと思いましたが、その守備に対する後悔がスペイン戦につながっているようにも見えました。プレスだけでなく、左サイドの1対1でも振り切られる場面などなかったですから」
類まれな走力は攻撃面でも存分に生かされた。1-1に追いついた3分後、堂安の鋭いグラウンダークロスに素早く反応。ゴールラインぎりぎりのところで追いつくと、左足で折り返し、田中碧の勝ち越しゴールを演出してみせた。ラインを割ったかに思われたものの、VARチェックでインプレーとなり、あらためて得点が認められた。
「あそこまで体の無理が利くのは、世界を見渡しても三笘だけかもしれません。彼だからこそわずか数ミリのところで追いついたと思います。とっさの反応ですよ。0から100に持っていく速さ。一歩目からスピードに乗っていけますから。集中力が研ぎ澄まされていましたし、スペイン戦に懸ける思いも出たんだと思います」(小井土監督)
「数歩でトップスピード」かつ「止まる」
大学時代からアジリティーは群を抜いていたという。入試の実技テストから30m走はダントツの速さ。入学後、体育の授業を担当した陸上競技の跳躍を専門とする先生から「陸上選手並のバネを持っている学生が一人いた」と驚かれるほどの瞬発力を持っていた。さらに、三笘は持っているその能力をより伸ばすことに力を注いだ。筑波大で陸上の専門家から走る指導を受け、スプリント力の向上に努めたという。
「筑波大で陸上練習を積み重ね、わずか数歩でトップスピードに乗れるようになったと思います。プレーがよりダイナミックになりましたから。力を最大限に出して走ると、止まる動作のときにケガをする選手が多いのですが、そこもトレーニングしていました」(小井土監督)
自己分析シートには『なりたい自分』になるために、いまの課題と今後自ら取り組むことを白いスペースにびっしり書き込んだ。そのなかには守備力を向上させて一歩を速く寄せること、スプリント回数を増やすこと、そして「走る、止まる」の強化も含まれている。