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父が日本代表監督ってどんな気持ち?「試合に関してはみなさんと同じ感覚ですよ」YouTuberけーごが語った“ブレない”親子関係とは 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2022/11/22 11:05

父が日本代表監督ってどんな気持ち?「試合に関してはみなさんと同じ感覚ですよ」YouTuberけーごが語った“ブレない”親子関係とは<Number Web> photograph by LuaaZ

2019年に現役を引退し、YouTuberに転身した森保圭悟さん(29歳)。父が日本代表監督に就任したときは、フィリピンでプレーしていた

 デジタルを通してサッカーの楽しさを届けることをコンセプトにスタートしたYouTubeの「eFootball チャンネル」。その中でYouTuberやインフルエンサーによって結成されたサッカーチームに、LISEMの3人も誘われた。

「WINNER'Sのことがよく分からないうちに、青森山田高校とか、岡田武史さん率いるチームレジェンドOBと試合をすることになって。『再生数を取れなかったらすぐに終わる』と聞いていたんですけど、こっちがびっくりするほどバズって」

 WINNER'Sの企画は成長物語であり、ドラマやドキュメンタリーの要素もあり、それぞれのキャラクターも立っているため、人気コンテンツとなっていった。

「それまで登録者数は6〜7万くらいで、フットサル場でのバイトもしていたんですけど、WINNER'Sが始まってからは一気に増えて20万人を超えましたから」

 元Jリーガーである兄の翔平も、LISEMの動画制作に関わるようになり、WINNER'Sのメンバーにも加わっている。

 21年12月26日には日産スタジアムで「JAPAN ALL STAR 2021」が開催され、WINNER'Sは現役JリーガーとOB選手の混合2チームと対戦した。

「カズさん(三浦知良)には『森保の息子です』ってご挨拶して、一緒に写真を撮ってもらいました。風間(八宏)さんは小さいときの自分を知ってる人。不思議な空間でしたね。僕はリタイアした人間で、ああいう選手たちと日産スタジアムでプレーできるなんて思っていなかったので、めちゃくちゃ嬉しかったです」

「この人、やべえな」父の凄さを思い知った夜

 約1万人の観客の前でプレーした夢のような日から約3カ月、もう少しで桜の便りが届こうかという時期に、圭悟はLISEMのメンバーとともに両親と食事をした。

 父親は1週間後にW杯出場が懸かる敵地でのオーストラリア戦を控えていた。

「普通はピリピリじゃないですか。でも、いつもと変わらない調子で喋って、食事して。あまりの変わらなさに、『この人、やべえな』って(苦笑)。最終予選の序盤でサウジに敗れて、2敗目を喫したじゃないですか。僕はクビになるんじゃないかと思って。そのあと、いつだったか親父が『自分が日本代表の成長に必要ないと言われたら、受け入れるだけ』と話していたんです。日本のためにやってるんだなって思いましたね。だから、やることがブレないんだろうなって」

 LISEMが動画をアップするたびに、コメント欄はファンからのメッセージで溢れかえるが、森保監督への批判や中傷が書き込まれることもある。

「正直、めちゃめちゃ来ますね(笑)。ただ、あまり気にならないというか。その人がそう思うのはしょうがないことだし、好き嫌いもあるだろうし。全員に好かれることなんてないんで。それに親父がクビになったとしても、自分の人生は何も変わらない」

 そんな圭悟はこれまでに何度か森保ジャパンの試合を現地観戦したという。最近で言えば、6月のブラジル戦や7月の香港戦をスタジアムで観た。

「最終予選は、たまたまですけど、見てないです。行けるときに行くっていう感じなんで。国歌斉唱の際、ベンチ前に立っている親父の後ろ姿を見ると、ちょっと震えたりもしますけど、試合に関してはみなさんと同じ感覚ですよ。『へえ、今日はこんなスタメンなんだ』とか、『え、そこで交代するんか』みたいな(笑)」

 4年に1度のW杯がいよいよカタールの地で開幕する。父親の率いるチームがW杯を戦うというのは、どんな感慨を抱くものだろうか。

「親父がっていうより、日本代表がベスト8に行ってほしい。選手で期待しているのは、やっぱり守田ですね。大学の後輩が日本代表の不動のボランチとしてプレーしているのは本当に嬉しい。W杯でも活躍してほしい。僕も、YouTuberの世界で一番を目指したい。ただ、『ゴールはなんですか』とよく聞かれるんですけど、その都度その都度やりたいことも変わってくると思うので、今を楽しむことが一番だと思っています」

 サッカーボールを蹴り始めたとき、父は「やるんだったら、楽しんでやれ」と言った。息子は「人生は短いから、もっと楽しめ」という思いを胸に第二の人生を歩き始めた。

 これから先も、さまざまな形でサッカーと関わりながら、LISEMと圭悟は今を生きていく。

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「YouTuberになる」父・森保一はドイツから帰国した息子に何と返した? LISEMけーごが語る森保家の“やるなら楽しめ”主義

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