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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
父が日本代表監督ってどんな気持ち?「試合に関してはみなさんと同じ感覚ですよ」YouTuberけーごが語った“ブレない”親子関係とは
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byLuaaZ
posted2022/11/22 11:05
2019年に現役を引退し、YouTuberに転身した森保圭悟さん(29歳)。父が日本代表監督に就任したときは、フィリピンでプレーしていた
続くフィリピンでは、念願のプロ契約でマリキナFCに加入。13ゴール10アシストと活躍したものの、クラブの経営問題によって給料が支払われなくなり、シーズン終了後に退団を余儀なくされた。
「めちゃくちゃでしたけど、なんか面白かったんですよね。東南アジアに行ったのも、発展途上国の生活を見るのも、初めてだったんで。華やかな場所がある一方で、その横のスラム街では道で人が亡くなっていたり」
人生経験としては、刺激的な日々が過ごせた。だが、海外で3年間プレーし、サッカーで上り詰めるという野心は消えかけていた。
「ずっとサッカーをやってきて、一度はヨーロッパのサッカーに触れたいなと思って、ドイツ5部のコブレンツに加入しました。でも、そのシーズン中に『もういいかな』って。違うことにチャレンジしたほうがいいかなって……」
幼い頃から親しんできたサッカーとの別れが訪れようとしていた。
だが、圭悟の気持ちが沈んでいたわけではない。
次にチャレンジしたいと思えることが、彼の頭の中で明確に像を結んでいたのだ。
海外生活の息抜きだったYouTube
海外で孤独とも戦っていた圭悟にとっての息抜き……いや、拠り所となっていたのがYouTubeだった。いわゆるYouTuberの動画を見ながら気分転換をしていた圭悟が、特にハマっていたのが「東海オンエア」だった。
「もう、めちゃめちゃ楽しそうにやっているし、人生を楽しんでるなって。これでお金が稼げるなんて、すごい世界だなって」
そこに、オーストラリアの人々の生活が重なった。
「セミプロとはいえ、お金をもらっている以上、チームファーストでやるのが自分の固定観念だった。でも、シーズン中に『彼女と旅行に行く』『家族と旅行に行く』といって練習を休む選手がいるんですよ。それをチームメイトも『楽しんでこい』って送り出して、帰ってきたら『どうだった?』って感想を聞いたりしている。人間ってこうあるべきだよな、人生、楽しんでナンボだよなって」
ピッチに続く次のステージとして、YouTubeの舞台を本気で考えるようになっていく。単なる思いつきではなく、圭悟には戦略と勝算もあった。
「その時点ですでにYouTubeはレッドオーシャンと言われていたんですけど、ガチのサッカー経験があるYouTuberはいなかった。だから、隙間はあるんじゃないかなって。東海オンエアみたいにワチャワチャやってる感じがYouTubeには必要なんだろうなって見ながら分析していました」
そこでメンバーとして考えたのが、サンフレッチェ広島ユース時代のチームメイトだ。