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18年前、ダルビッシュ有はなぜ日本ハムのドラ1“単独指名”だった? 伝説のスカウトの質問「練習嫌いなの?」にダルビッシュ驚きの答え
posted2022/11/19 17:01
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
JIJI PRESS
メジャーリーグ・パドレスで今季16勝を挙げ、日本人選手としてただひとりポストシーズンでプレーしたダルビッシュ有。日米通算200勝まであと「12」に迫る右腕は、意外にもドラフト入団時は日本ハムの「単独指名」だった。当時獲得に携わった日本ハム元GMの山田正雄氏(現スカウト顧問)にその獲得秘話と、選手を見極めるスカウティングの極意を聞いた。(全3回の#2/#1、#3へ)
アマチュア選手を見るスカウトたちが「一番難しい」と口をそろえるのが、数字には決して現れない「性格面」の見極めだ。特に十代の高校生は、プロ入り後にその素質を花開かせることができるか、あるいは潰れてしまうのか、鍵を握る大きな要素が「性格面」であると言える。
2004年秋。ドラフト会議を控えたスカウト陣の間でその「性格面」を巡って評価が分かれていたのがダルビッシュだった。未来のエース候補として十分すぎる素質の一方で、練習嫌いで気分屋という「性格面」の評判から、1位指名を躊躇した球団は多かった。山田氏が振り返る。
「他のスカウトはそういう噂が耳に入っていたのかもしれないです。あまり練習をしないとか、性格が難しくて大変だぞ、とかね。見ていてそう思ったのかもしれない。あれだけのピッチャーがうちの単独指名だったわけですからね」
そういった類の話は、当時、編成部ディレクターだった山田氏の耳にも入っていた。実際に東北高校のグラウンドに足を運んだ時も、練習らしい練習はほとんどせず、ダルビッシュの姿はふいと消えていた。率直にこう問いかけたことがある。
「練習嫌いなの? 走るの嫌なの?」
ダルビッシュから返ってきたのはこんな言葉だった。
「そんなに嫌いでもないですけど、好きでもないですね」