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《エリザベス女王杯》ジェラルディーナが見せた「良血女王に相応しい勝ち方」…一方、1番人気デアリングタクト“まさかの失速”の原因は?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2022/11/14 11:55
11月13日のエリザベス女王杯にて、GI初制覇となった良血馬ジェラルディーナ
デアリングタクト“まさかの失速”の原因は?
対照的に、運に味方されなかったのが、内目の4番枠からの発走となった1番人気のデアリングタクトだ。道中は掛かり気味にも見える手応えで馬群のなかを進み、直線で弾けるかと思われたが、伸びを欠いて6着に終わった。
前走、内が有利だったオールカマーでは外を回って6着に敗れていたように、どうも歯車が噛み合っていない。
無敗で牝馬三冠を制したときは、パドックに出てくると「これで大丈夫なのか」と心配になるほど入れ込んでいたが、レースに行くと力を出し切った。長期休養から復帰後は、逆に、パドックで落ちついて歩いているのだが、レースでは不完全燃焼に終わっている。大人になったからパドックでおとなしくなったのか、それとも、普通の馬とは逆に、パドックで入れ込むことが好調のバロメーターなのかはわからないが、ともかく、また本来の姿を見せてほしいと思う。
気になるジェラルディーナの今後は?
好位で上手く立ち回ったダミアン・レーンのウインマリリンと、C.デムーロの兄のミルコ・デムーロが乗って追い込んできたライラックが、1984年のグレード制導入以降初めてとなるGIでの2着同着になった。2頭とも、状態のよさが走りに表れていた。
今年の秋華賞を勝ち、ここで2番人気に推されていたスタニングローズは、よもやの14着に沈んだ。坂井瑠星がコメントしていたように、落ちついて、いい雰囲気だったのに、ラスト800mあたりから手応えがなくなってしまった。牝馬は、どんなに強い馬でもときどき原因不明の敗戦があるのだが、それだろうか。
ジェラルディーナの今後は未定だが、12月11日の香港ヴァーズと香港カップに予備登録済だ。父は2016年の香港カップなど海外GIを3勝。母は2014年のドバイシーマクラシックを制している。素質を開花させた良血娘も、両親のように世界に羽ばたくか。今後も楽しませてくれそうだ。