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「結末はわかっていたのに、大号泣」アニメウマ娘『ROAD TO THE TOP』は1999年菊花賞をどう描いた?「アグネスデジタルが観客席にいた理由は…」

posted2023/05/21 17:01

 
「結末はわかっていたのに、大号泣」アニメウマ娘『ROAD TO THE TOP』は1999年菊花賞をどう描いた?「アグネスデジタルが観客席にいた理由は…」<Number Web> photograph by Cygames, Inc.

左からテイエムオペラオー、アドマイヤベガ、ナリタトップロード。1999年クラシックの結果はわかっているはずなのに見入って感動するファンが続出した

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屋城敦

屋城敦Atsushi Yashiro

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Cygames, Inc.

 2023年5月7日の配信をもって全4話で完結したアニメ『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』(以下、『ROAD TO THE TOP』)。ナリタトップロード、アドマイヤベガ、テイエムオペラオーの3人のウマ娘を軸に、クラシック三冠を巡る物語が描かれた。

 完結時点での公式YouTubeチャンネル『ぱかチューブっ!』での視聴回数は、第1話は約250万、第2話は約150万、第3話は約100万、そして第4話も1日にして約50万という数字を叩き出している。さらに、1話配信されるごとに物語の感想や元ネタ談義がそこかしこで花咲いていた。

 本稿では、1999年当時に撮影された懐かしの写真なども交えながら、最終第4話の物語や演出の元になったであろう史実要素をチェックしていく(前回までは#1#2へ。以下、最終話のネタバレを含みます)。

テイエムオペラオーの順調ぶり

 第4話は“三強”へのインタビューから始まる。菊花賞に挑む三強への注目度の高さが反映されたシーンである。史実での単勝オッズを振り返ってみると、日本ダービーではナリタトップロードとアドマイヤベガ3.9倍、テイエムオペラオー4.2倍に次ぐ4番人気オースミブライトは8.4倍と健闘していた。それが菊花賞ではアドマイヤベガ2.3倍、テイエムオペラオー3.5倍、ナリタトップロード4.1倍とさらに三強に人気が集中し。4番人気はラスカルスズカだがそのオッズは21.5倍。ファンも三強のいずれかが勝つと思っていたのだ。

 ここでは、テイエムオペラオーに注目したい。前走は京都大賞典で3着(TVアニメ第1期では、太り過ぎのスペシャルウィークをマークしていたら共倒れしてしまったシーンが描かれている)だったが、インタビューを受ける3人の中でもっとも自信たっぷり。第1話でキツそうな表情を見せていたことがあるように、テイエムオペラオーは道化のような振る舞いをしていても苦しいときは苦しい表情をする。それだけに、臨戦過程の順調ぶりがうかがえるシーンだった。

騎手とキャラクターの重なり

 オープニングを挟み、トレーニング中のシーンへ。トレーナーはナリタトップロードに「今までと同じ末脚勝負をしてちゃ、アドマイヤベガには勝てない。ならリスクを取ってでもこっちがペースを握る。可能ならロングスパートで持続力の勝負に持ち込む」と自分のプランを語る。まさにこれが、史実の菊花賞でナリタトップロードが披露した秘策の“一部”だった。

【次ページ】 カレンチャンとアドマイヤベガの共通点

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