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《エリザベス女王杯》ジェラルディーナが見せた「良血女王に相応しい勝ち方」…一方、1番人気デアリングタクト“まさかの失速”の原因は?
posted2022/11/14 11:55
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
レース名の由来となったエリザベス女王が崩御した年の女王杯を制したのは、この秋本格化した超良血牝馬だった。
第47回エリザベス女王杯(11月13日、阪神芝内回り2200m、3歳以上牝馬GI)で、クリスチャン・デムーロが騎乗した4番人気のジェラルディーナ(4歳、父モーリス、栗東・斉藤崇史厩舎)が優勝。前走のオールカマーに次ぐ連勝で、嬉しいGI初制覇を遂げた。母はGIを7勝したジェンティルドンナ。父モーリスのGI6勝と合わせると「13冠娘」となる期待の素質馬が、鞍上の完璧なエスコートで圧倒的な強さを見せた。
トラックバイアスを味方につけたジェラルディーナ
朝は良馬場だった芝コースが、雨を吸って稍重から重へと悪化し、エリザベス女王杯のゲートが開いた。
大外18番枠から出たジェラルディーナは、道中は中団の後方につけ、終始馬場の傷みの少ない馬群の外を進んだ。普通なら、外を回ることを「コースロス」と表現するのだが、このときは逆に、馬場の荒れた内を回ることがスタミナのロスにつながるトラックバイアスだった。コーナーでゴチャついて不利を受けた馬もいたなか、そうした影響もまったく受けなかった。
抜群の手応えのまま、自分だけのリズムを優先して走った。直線でゴーサインを受けると豪快に伸び、内から先に抜け出したウインマリリンをとらえ、追い込んできたライラックも封じ、1馬身3/4差の勝利をおさめた。