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「分かります? 着てもないものに熱くなれない」鈴木優磨(26歳)が日本代表より愛する鹿島で果たしたい“義務”と“ハセさん超え”
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byJ.LEAGUE
posted2022/11/04 17:02
今季はリーグトップの9アシスト(7ゴール、第33節終了時点)と献身性も光るJ1鹿島FW鈴木優磨。ベルギーでの経験がプレーの幅を広げた
目指すは欧州CL出場を踏まえて「欧州5大リーグ、特にイタリア・セリエA」に行きたかった。「いいFWがいて、フィジカルではなく頭を使って点を取れる選手、あとはペナルティエリア内で結果を残せる選手が多い。そこに学びがあると思った」のが理由だ。
鈴木の移籍について、さまざまな話が報道された。欧州5大リーグへ移籍できるのか。はたまたその他のリーグなのか。日々そのニュースは更新された。
「いろんな話があった。ニュースを見れば、これは本当だけど、これは嘘だなとか。移籍市場が閉まる1週間前はずっとそう。合意して現地に行くとなったけれど、ベルギーから飛行機に乗る1時間前に破談とか。何度空港に行って、何度空港から帰ったか(笑)。いろいろあったなあ……、今となってはいい思い出だよ」
「自分と会話して曲げずに貫いた」
受けたオファーのうち、断ったものもある。それは移籍先を、自分が進みたい、そしてモチベーションを持てるクラブに絞ったから。欧州CL出場が可能な5大リーグのクラブを移籍先として選択すること。それだけは自ら曲げないと決めた。家族とも話したが、最後は「自分と会話して曲げずに貫いた。いろいろと曲がりそうになったこともあったけれど、最終的には自分を曲げないで行って、移籍できなかった。だから、まったく後悔はない」という。
曲げない理由もきちんとあった。
「自分が小さい頃から見てきたところに行くことにしかモチベーションがなかった。例えば、自分が望んでいないところに行って、やれるモチベーションがあるのかと言ったら、俺にはなかったんだ。だから、そのときからもう5大リーグか自分の行きたいクラブか。そこがダメだったらもう、海外でプレーする選択はなかった」
思い描く先が違ったとしても、絶望ではない。諦めでも自暴自棄でもなく、あくまで描く理想と距離を取るように決めた。
「これで自分が望むところに行けなかったら、俺はもうついてなかったということ。もうヨーロッパに縁がなかったって、本当の意味でそう思えたね」
未練なし。気持ち晴れやかに鹿島への復帰を決めた。ベルギーでのプレーと成功体験を経て、鈴木自身のゴールへの考えに変化があった。