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「熱意だけでは通用しない。次の一手を考えてほしい」アスリートによる社会貢献活動をサステナブルにするための重要な視点とは《HEROs活動報告会レポート》

posted2026/05/29 10:30

 
「熱意だけでは通用しない。次の一手を考えてほしい」アスリートによる社会貢献活動をサステナブルにするための重要な視点とは《HEROs活動報告会レポート》<Number Web> photograph by Tadashi Hosoda

日本バスケットボール選手会の選手会長を務める田渡凌選手。試合のときとは違う表情で選手会の取り組みを説明した

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渕貴之

渕貴之Takayuki Fuchi

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Tadashi Hosoda

 トップアスリートが競技の枠を超えて連携し、スポーツの力で山積する社会課題に取り組み、「スポーツ×社会課題」という新たな方程式のもと、社会課題解決のリーダーとして活躍する世界を実現する──。

 日本財団が主催する「HEROs」は、アスリートたちの社会貢献活動を推進し、社会課題解決の輪を広げるためのプロジェクトだ。2017年に発足し、これまでに66競技350人がHEROsアスリートとして活動を広げている。

 3月、このHEROsの活動報告会が開催され、日本財団HEROsの助成を受けて活動を行った「一般社団法人日本バスケットボール選手会」「一般社団法人日本障がい者サッカー連盟」「SWIM CIRCUS」など5つの団体が活動報告を行なった。

 その内容は「能登半島地震復興支援活動」や「スポーツを活用した障がい者雇用の促進」「(障がいの有無を問わず)誰もが楽しめるめっちゃおもろい水泳大会」などさまざま。団体によって活動の規模は違えど、共通しているのは選手、あるいはスポーツ団体そのものが主体的に行動する姿勢だ。彼らはみな、毎年ごとの申請と審査を経て日本財団HEROsからの助成金を得つつ活動に取り組んでいる。

「まずはドアをノックしてほしい」

 日本財団の担当者はその審査についてこう説明する。

「たしかに審査はありますが、財団としては一緒に事業を作っていく仲間としてアスリートと対話をしているつもりです。そもそも何から始めていいかわからない人に、まずはドアをノックしてほしい」

 結果として思いを持つアスリートが団体を作ることもあれば、既存のNPO団体などとマッチングをはかる場合もあるという。つまりはスタートアップ支援といえる内容。その上で年間30から40、多いときは50ほどの団体の活動を採択している。

 報告会には社会貢献に強い関心を持ついくつかの企業も参加。その目的もまたマッチングにある。

「最近はお客からに寄付や社会貢献などについてお問い合わせを受けることが多いんです。それにお答えするうえで、様々な取り組みを伺いたいと思い参加しました」(野村證券営業企画部・北村彰久氏)

 この言葉からも分かるとおり、HEROsは社会全体の課題解決プラットフォームとしても機能している。

活動継続のために必要な視点

 報告会において印象的だったのが、人材サービス企業「パーソルイノベーション」の代表取締役社長を務めつつ、アスリートのセカンドキャリア形成のサポートに長く携わってきた大浦征也氏の「活動をいかにサステナブルなものにするか」という問いかけだ。

「HEROsの助成を得て社会貢献活動の端緒に立った団体は、次の一手としてステークホルダーを増やさなければいけない。どんなに素晴らしい取り組みでも、助成金に頼っている限りはサステナブルになり得ないんです。一方で、企業がなんらかの社会貢献活動をやりたいと思った時に、アスリートというスパイスがかけ合わさることによって、一気に影響力や発信力が増すという事実もある。その掛け算が現状ではあまりうまくいってない。アスリートは自分の取り組みがいかに社会課題解決につながっているかを積極的に示さなければいけないんです」

 つまり、より大きな社会貢献活動の枠組みをつくるためには、企業にとってのメリットが何なのかを考える必要があるということだ。たとえば、それは財務価値なのか、財務価値だとしたらどのように収益に貢献するのか──アスリート側もそこを深く考えないとお金は出てこない。

「うまくいっている例はまだまだとても少ないです。でも最近は、きちんとした社会課題解決のロジックさえあれば、企業もお金を使いたがってる側面もあるんです。だからこそ、志をもつアスリートには『次の一手』をよく考えてほしいんです」

 ただ、HEROsを推進してきた日本財団の担当者によれば、もっと大きな課題があると言う。

「そもそも、スポーツで得たチカラが社会課題解決に役立つと考えているアスリートは極めて少ないんです。でも彼らの影響力はとても大きい。活動してみた時に目に涙をためながら感謝されるとか、そういう事例もたくさん出てきます。自分の価値を正しく理解して、HEROsという枠組みを使い倒してほしいです」

 世の中のためになにかをしたい、そんな思いを持つアスリートは大勢いる。そしてHEROsには、その思いを実現するための支援が整っている。まずは最初の一歩を踏み出してほしい。

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