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「歩くのも大変な状態になって…」難病で8月末に手術、DeNA三嶋一輝32歳が明かす復活への道筋「いろんな意味で強くなって戻ってきますから」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNanae Suzuki
posted2022/11/07 11:05
国指定の難病『胸椎黄色靭帯骨化症』の診断を受け、今年8月末に手術を受けた三嶋。本人が苦闘と復活への道筋を語った
「ヒーローインタビューでその場にいない人の名前を挙げるなんて珍しいですよね(笑)。いや、すごく嬉しかったですよ。今後生きていく上で、こうやって言ってくれる人がいるのは励みになりますよね。僕がクローザーをやっているとき、ヤスは悔しい思いをしていただろうし、そういう人に言葉を掛けられるのはね、いろいろと思うところはありますよ」
どこか余韻を残し、滋味を帯びた風情で三嶋はそう語った。
三上とは「寂しくなりますね」なんて話はしない
最後は、法政大学の1つ先輩であり、DeNAで9年ともに過ごしたブルペンリーダー三上朋也が今季をもって退団したことだ。
「10年以上、一緒のチームでプレーしていますから、もちろん思うことはたくさんありますよ。ただ僕は三上さんのことをずっと近くで見てきたからわかるんですよ。契約が更新されないからといって変に取り乱す人じゃないし、三上さんのことだからすでに次を見据えて動いているはず。そこがあの人のすごいところだし、わかっているからこそ、顔を合わせても『寂しくなりますね』なんて話はしないですよ」
そう言う三嶋の表情はちょっと寂しそうだったが、またいつの日かグラウンドで再会してほしいものである。
うん、いいですね、その道なき道って
そのために三嶋は完全復活しなければいけない。振り返れば、病気になる以前も紆余曲折の野球人生だった。まだ道半ばであるものの、試練を乗り越えていくのが三嶋一輝という男である。
「まあ大変ですけど、幸せだと感じることはたくさんありますし、この世界でいろんな経験ができて、なおかついろんな人に心配かけて、それでも応援してくれる人がいる。温かいなと思ったし、周りの人たちに感謝して、もっと頑張らなきゃいけないなって。たくさんの人に喜んでもらえたり、元気を与えるようなことをしなければいけないし、きっとできると思うので期待してほしいですね。手術前より、いろんな意味で強くなって戻ってきますから。えっ、復帰の時期ですか? まだ先のことはわからないけど、今はキャッチボールをしてもまったく違和感がないので、ブルペンに入る日は、そう遠くないと思いますね」
自信ありげなその表情、三嶋に「道なき道をゆくわけですね」と言うと、「うん、いいですね、その道なき道って」と、まんざらではないといった様子で笑った。
道なき道の果てには一体なにがあるのか? 三嶋には、あのほとばしるようなダイナミックな投球で再び活躍し、それをぜひ我々に見せてもらいたい。
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