「いや正直言うと、全然ダメだったんですよ。左足に力が入らず踏ん張れないから出力が出ない。ただこの4年間、中継ぎをやってきて、悪いなりにも抑える投球はしてきたので、その経験を活かした感じですね。足の状態が良くないので、ウォーミングアップを入念にやったり、痛み止めを飲んだり。まあオープン戦はゼロで抑えたから何とかなるだろうって」

“異例”の三嶋本人からの「右肩の張り」という報告

　シーズンも開幕し、自分に折り合いをつけごまかしながら登板を重ねていた三嶋だったが、ついに限界が訪れる。5月7日の広島戦（マツダ）で同点の10回裏にマウンドに上がると、西川龍馬にサヨナラ本塁打を浴びてしまう。この翌日、三嶋は登録抹消されるのだが、理由は本人から「右肩の張り」と報告があり、これを了承したとのことだった。これまで三嶋が自ら不調を伝えファームに行くことはなく、どこか不穏なものが感じられた。

「抹消される10日ぐらい前にインピンジメント（肩関節の引っ掛かり）のような感じになって、左足や腰に気を使いながらやっていたのがついに肩に来たな、と思ったんです。そこらあたりからですね、投げることがかなりきつくなってきたのは。疲労感も半端じゃなくて、7日の試合後、木塚（敦志）コーチに『今の僕じゃチームに迷惑をかけることになるので、病院に行かせてください』と言ったんです」

ファームで投げ続けた夏の苦悩

　そして同月、三嶋は『胸椎黄色靭帯骨化症』と診断された。

「原因がわかったところで、正直『何だそれは？』って話ですよね」

　その後、三嶋はファームにおいて8月半ばまでに11試合を投げた。登板の合間をぬってセカンドオピニオンを聞いてまわったが、なかなか手術には踏み切れないでいた。

「そこは時間が掛かりましたね。いろいろ調べると手術をしても完全に復帰できたケースは少ないということでしたし、保存治療で済ますことができればそれが一番いいとも言われましたしね」

　たしかに過去、越智大祐（元巨人）や大隣憲司（元ソフトバンク、ロッテ）が同じ病気を患い手術に踏み切ったが、復帰は果たしたものの全盛期の輝きを取り戻すことはできなかった。

　三嶋は保存治療の可能性を模索したものの、全身を取り巻く違和感から解放されることは一度たりともなかった。

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