日常生活でも歩くのが大変な状態に…

「ファームで投げていても、一向に状態が良くならず、どんどんひどくなっていったんですよ。アップのジョギングですでにきつかったし、さらに日常生活でも歩くのが大変な状態になってしまい……」

　病状は進行するばかりで、改善の余地はなかった。いくつかまわったうちのある病院の医師と症状など細かい部分の話が一致し、ようやく納得できたことで三嶋は手術をすることを決めた。

「一軍の試合を観て『早く戻って投げたいな』って思ったり、ファームでも『こんなもんじゃないのな』って考えてみたり、いろんなことを思いましたよ。ただもう手術をしないとダメだって。結局、投げなければ良くなる、休めば治るといった部類の病気ではないし、ある日突然、足が動かなくなるかもしれない。主治医からは『手術をすれば絶対に良くなる』と力強い言葉を頂いたんですよ。また周りでサポートしてくれた人たちがいましたし、そこは本当に感謝しています。手術に至るまで、やれることは全部やったと思いますね」

三浦監督からのメッセージ

　ミストによる手術は無事に成功し、三嶋は今、誰も成し得なかった黄色靭帯骨化症からの完全復活を目指し、日々体と向き合っている。

「この世界は厳しい世界。グラウンドに戻ることができても活躍しなければ、復活したとは言い難い。だから結果を出して、自分のパフォーマンスで説得しなきゃいけないんですよ。それに三浦（大輔）監督からは『こういう病気になって手術を受けても、できるんだっていう一番手になれ』という言葉を頂きましたし、もうやるしかないですよ」

　三嶋の瞳に光が宿る。クールな口調ではあったが、熱を帯びた響きがあった。もちろん楽観視はできないし、その道のりは困難を極めるだろうが、きっと三嶋ならば難病を克服してくれるだろうと期待せずにはいられない。

三嶋が見た今季のリリーフ陣

　先ほど三嶋は一軍の試合を観ていたと言っていたが、今季についていくつか気になることがあったので尋ねてみた。まず不在の三嶋に代わりリリーバーとして大車輪の活躍をした3年目の伊勢大夢のことだ。入団時から三嶋のことを尊敬し、今季は両リーグトップの71試合を投げた後輩をどのように見ていたのだろうか。

今季フル回転でブルペンを支えた伊勢　©Hideki Sugiyama

「いや、本当にすごかったと思いますよ。1年目から気にかけてきて、当時からいいボールを投げていましたけど、この1年で飛躍することができましたね。本当にいいシーズンだったねって直接話させてもらいました。見た目あんな感じなんですけど、本当にいいヤツなんで（笑）」

　まるで自分のことのように、三嶋は誇らしげに後輩のがんばりをねぎらった。

山﨑のお立ち台でのメッセージを聞いた三嶋は…

　そして8月31日の中日戦（横浜）、自主トレをともにする仲間でありクローザーの座を競い合った山﨑康晃が試合後のお立ち台で「皆さんも三嶋さんにエールを送って頂けると助かります」と、ファンに呼びかけるシーンがあったが、三嶋の目にあの光景は果たしてどのように映っていたのか。

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