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「僕に危機感を持たせてくれた」今季71試合登板、DeNAの“鉄腕”伊勢大夢が感謝する後輩とは?「セーブは僕のなかでは格別なモノ」
posted2022/10/07 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
「以前から口では『エスコバーみたいになりたい』なんて言っていましたが、実際に自分が同じぐらいの試合数を投げるとは思っていませんでした」
鉄腕として知られる同僚外国人投手の名を挙げ、目を見開きそう語るのは、横浜DeNAベイスターズの伊勢大夢。今季リーグ2位に躍進したチームの原動力としてフル回転した不動のセットアッパーだ。
今季のチームMVPといっても過言ではない活躍
伊勢が身を粉にして投げに投げ抜いた登板数はセ・パ両リーグトップの71試合。3勝3敗1セーブ、防御率1.72、そして球団新記録となる42ホールドポイントという圧倒的なスタッツを残しており、その活躍ぶりは今季のチームMVPといっても過言ではない。
また伊勢自身『最優秀中継ぎ』のタイトルを狙える位置に付けてはいたが、チームの順位確定後に首脳陣と協議し、クライマックスシリーズ(CS)に照準を合わせ万全を期すことに集中してきた。
「もちろんタイトルを狙いたい気持ちもありましたが、ホールドは試合状況や運もからんでくるので、ここはコーチの方々と話してCSへの調整を選ばせてもらいました。いい状態で挑みたいですからね。自分としては目標としてきた70試合登板を達成できましたし、またチームもCSを迎えることができる。タイトルは獲れなかったけど、そういう意味からすると、何か悔しいような嬉しいような思いがありますね」
万全な状態でゲームに挑めることは決して多くはなかったが…
伊勢はそう言うと気恥ずかしそうに笑顔を見せた。プロ3年目、充実の様子がうかがわせる。
それにしてもタフなペナントレースだった。伊勢は、一昨年は33試合、昨年は39試合で投げているが、年間を通じて70試合以上の登板は言うまでもなく未知のゾーンだった。コンディショニングが最大のテーマとなったが、どのように折り合いをつけてきたのだろうか。