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野ボール横丁BACK NUMBER
金足農キャプテンが明かす、カナノウ旋風から“現実に戻った日”「世の中はそんなに甘くないんだな」…吉田輝星も「打ちのめされてました」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2022/11/04 11:02
2018年夏の甲子園で準優勝した金足農。当時キャプテンを務めた佐々木大夢(日体大4年)
佐々木 僕らと同じ代に二刀流の矢澤宏太(今ドラフトで、日本ハムが1位指名)がいたんです。甲子園に出てない高校でも、こんなにすごい選手がいるんだって、驚かされました。身長は僕とあまり変わらないくらい(173センチ)なのに、バネがすごい。僕も、ものすごくモチベーション高く入学したつもりだったんですけど、冷静に見て、これはかなりがんばらないとやばいなと思いましたね。
――金農で、エースで同級生だった吉田輝星投手(日本ハム)を間近で見ていても、矢澤選手のレベルには驚かされましたか。
佐々木 驚きましたね。吉田もすごかったですけど、矢澤は身体能力がお化け。投げて、打って、走って、すべてでレベルが高いので驚きまくりました。
吉田輝星の苦闘…「何度も打ちのめされていました」
――その吉田投手は今年、主に中継ぎとして51試合に登板し、4年目でようやく一軍に定着しました。
佐々木 最初の3年は、何度も打ちのめされていましたから。金農の同級生で野球を続けているメンバーの中では、吉田がいちばん大変だったと思います。プロなんで、当たり前なんでしょうけど。「もう無理だ……」みたいな時期もありましたからね。吉田は高校時代は、自信の塊でした。それだけの努力もしていたし、力もあった。プロは、その吉田からも自信を奪ってしまうところなんだと思いましたね。
――6月21日に吉田投手は、秋田県のメインスタジアム、こまちスタジアムで凱旋登板を果たしました。すごい盛り上がりだったそうですね。
佐々木 僕もちょうど教育実習で秋田に帰っていたので、同級生と観に行ったんです。もう1球ごとに、「ウァーッ!」って、すっごい歓声でした。楽天のホームゲームだったんですけど、日本ハムのホームというか、完全に吉田のホームゲームみたいになっていましたね。〈後編へつづく〉
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