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原辰徳が明かした「私が監督なら大田を出さなかった」巨人ドラ1・浅野翔吾…じつに14年ぶりの当たりクジで思い出す“大田泰示の後悔”
posted2022/10/27 17:03
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph by
JIJI PRESS
いつの時代も、ドラフト会議は人を狂わす。
1995年秋、7球団競合の福留孝介を引き当て、「よっしゃー!」と絶叫した近鉄の佐々木恭介監督は、スーツの下に勝負の紅白フンドシをつけていたという。我々が日常生活でスーツの下に紅白フンドシをつけて出社する機会は滅多にない。まさにドラフト会議は非日常の特別なイベントと言えるだろう。
そして、2022年のドラフト会議でも、巨人の原辰徳監督が感情を爆発させた。両目を見開き、右拳を突き上げ何度もガッツポーズ。1巡目で阪神との競合の末、高校通算68本塁打を誇る浅野翔吾(高松商)の当たりクジを引き当てたのだ。真っ赤な顔のタツノリスマイルのまま、早くも沖縄キャンプで浅野君と一緒に獅子舞に噛まれることを妄想してるかのような今年イチのテンションで、会場インタビューに答える。
「今日は自宅からここに来る間もですね、道順を変えながら、靴も一番新しいのを履いてきてですね。色んなことを変えてみました。効果はあったと思います」
原監督“14年ぶりの”当たりクジだった
巨人の1位抽選成績は過去10年0勝11敗、原監督は通算1勝11敗で自身6連敗中。ドラフト前日には「くじは引かないでいてほしい、というところはありますな。まあ、単独指名ということもなきにしもあらずでしょう(スポーツ報知)」なんて珍しく弱気な発言も。しかし、ついに勝利の女神が微笑み、交渉権確定直後に若大将は饒舌に語った。
「まあ今年は非常に苦しい思いをしながら、来季に向けて練習もしております。そういう中、このドラフトで意中の選手を獲得できたというのは非常に! 良かったと思います。浅野君もですね、もうムネェ~(胸)を張って堂々とジャイアンツのユニフォームを着て、我々は大手を広げて迎え入れます」
もはや喜びすぎて、声も裏返り気味のタツノリ節。今季の巨人は4位に終わったが、皮肉にもAクラス入りの常連で抽選の順番が後半の例年とは違い、真っ先にクジを引けたのが勝因となった。2008年にソフトバンクと競合した、東海大相模高の大田泰示(現DeNA)以来14年ぶりの悲願の当たりクジだ。