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「朝起きた瞬間に1番だ!」ヤクルト高津監督の閃きが的中…山田哲人の覚醒とルーキー丸山の”決定打” 恩師ノムさん超えの連覇なるか
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2022/10/26 12:45
日本シリーズ第3戦を7-1と快勝し2勝1分としたヤクルト高津臣吾監督。2年連続日本一に向けて4戦目以降、どう戦うのか
丸山といえば思い出すのは、マジック2となった9月25日のDeNA戦である。0対0の同点で迎えた9回裏1死二塁から優勝を決める左中間へのサヨナラ二塁打を放って、ルーキーらしからぬ勝負強さを見せたことが記憶に新しい。
若い力といえば丸山だけではなく、このシリーズでも第2戦の土壇場で起死回生の同点3ランを放ったプロ2年目、20歳の内山荘真捕手もそうだ。今季は中村悠平捕手に次ぐ74試合に出場しチャンスをもらうと、5月24日の日本ハム戦で1点を追う8回に同点本塁打を放って、延長11回の村上のサヨナラ2ランのお膳立てをする活躍を見せてもいる。そして生まれたシリーズでのあの起死回生弾。
「大事な場面で任されたときにチームのために貢献できるように、しっかり自分の仕事を果たしていきたい」
同点弾の試合後の内山のセリフだった。
「1年は勝てても、勝ち続けることは…」
シリーズで名を売ったこの2人以外にも、忘れてはならないのがシーズンを通じてショートのレギュラーの地位を確立した長岡秀樹内野手である。長岡もまた高校を卒業してまだ3年目の21歳という若さ。今シリーズでは第1戦の1安打だけとバットではなかなか目立つことはないが、守備面では大舞台でも難しいポジションをそつなくこなして、1年間、レギュラーを張って養ってきた安定感を見せている。
そういう若い選手たちの存在は、まさにヤクルトのもう1つの強さの象徴でもあるのだ。
「強いチームとはレギュラー陣が固定されて、シーズンを通して安定した力を発揮できることが第1の条件。ただ、それだけでは1年は勝てても、勝ち続けることはなかなかできない」
こう語っていたのは90年代に高津監督の恩師でもある野村克也監督率いるヤクルトと死闘を演じた巨人の長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)だった。