プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「朝起きた瞬間に1番だ!」ヤクルト高津監督の閃きが的中…山田哲人の覚醒とルーキー丸山の”決定打” 恩師ノムさん超えの連覇なるか
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2022/10/26 12:45
日本シリーズ第3戦を7-1と快勝し2勝1分としたヤクルト高津臣吾監督。2年連続日本一に向けて4戦目以降、どう戦うのか
ややプッシュ気味に投手の横をすり抜けた打球はセーフティーバントのお手本のようだった。
結果的にはこのバントがきっかけとなり、山田と塩見の四死球から満塁へとチャンスが膨らむ。そして村上の押し出しで貴重な4点目のホームを丸山が踏んだ。
次の1点をどちらのチームが取るか。終盤に差し掛かったゲーム展開の中で、この丸山のアイデアと技術が生んだバント安打が、勝負を決定づけたと言っても過言ではなかった。
高津監督も試合後に絶賛したプレー
続く8回の打席も二塁横への内野安打で2打席連続出塁。この打席では投手が投げる瞬間に、一瞬、バントの仕草を見せて内野陣の反応を誘って前に出させた上で、コンパクトにバットを振り抜く絶妙な“技”も披露。その裏の守備で右翼に回ると、今度は吉田正尚外野手の前方への飛球をスライディングキャッチするなど、本人の言葉通りに「役割を100%」果たして、その存在感を示した。
「途中から出て2本打つというのは難しいし、あの守備だってベンチから見ていて追いつかないな、と思った打球に追いついていた。その打球判断の良さであったりとか、いいプレーをしてくれていると思いますね」
こう絶賛したのは試合後の高津監督だ。
「守備と足というのは誰にも負けないものがあるので、そういうところでしっかりアピールしてチームに貢献してくれている」
本人が思う「100%アピール」を指揮官もしっかり感じとって、評価してくれている。
ヤクルト連覇の秘密とは?
この丸山の活躍にこそ、今年のヤクルトの強さと連覇の秘密がある。
もちろん村上や山田、塩見やオスナ、サンタナという外国人選手らバリバリのレギュラー陣の力が、優勝への原動力であるのは確かだった。しかしそういう柱の選手たちの活躍に引っ張られるように、若い選手が大舞台でも伸び伸びプレーして力を発揮する。そこに今年のヤクルトの強さの秘密、そしてこれから先へとつながるチームの新しい歴史作りもあるはずだ。