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プロ野球PRESSBACK NUMBER
ヤクルトはドラフトでなぜ“持っている”のか? 伝説は“くじ運最強の社長”から小川GMまで…球団職員「そのツキで私の宝クジを買って下さい」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2022/10/20 11:08
1980年代から「ドラフトくじ」で無類の勝負強さを誇ってきたヤクルト。その理由を探る
高津監督も「持っている感」唯一の“懸念”は…
では、現在も球団に所属する小川GMがくじを引けば幸運が巡るのかといえば、そうとは言えないだろう。過去のドラフトでは、相馬球団社長のみならず、江川卓などを当てた阪神の岡崎義人代表、田中将大などの交渉権を獲得した楽天の島田亨球団社長、松井裕樹などを取った楽天の立花陽三球団社長という名物フロントがいた。しかし、彼らの運は永遠に続くわけではなかった。相馬は野茂、岡崎は清原和博、島田は菊池雄星、立花は村上宗隆を外し、抽選の場から去っている。
人の運には限界がある。小川GMは2018年を最後にくじ引きから撤退。翌年、バトンを渡した高津臣吾・新監督が奥川恭伸を当てた。相馬社長と同じく、引き際のタイミングも絶妙だった。
高津監督は2019年から抽選2勝3敗。まだ数年しか経っておらず、『本命1位』と『外れ1位』の活躍度は一概に比較できないが、昨年は奥川が9勝を挙げて日本一に貢献し、今年は2020年の『外れ外れ1位』木澤尚文がセットアッパーで9勝して連覇に欠かせない存在になった。高津監督は、抽選歴5年の小川GMのような強運を持っている可能性もある。一方、ヤクルトには相馬社長が3年で一度くじ引きを撤退し、その後新参者が当たりくじを引き当てた歴史もある。
セ・リーグ2連覇を果たした高津監督が運を使い切っていないかと心配する向きもあるだろう。もう一つ、気になる情報がある。現役時代の『選手名鑑』にはこんな趣味が載っていた。
〈パチンコ(大学4年時には負け知らず)〉(1991年版)
〈パチンコ〉(1992年版)
〈パチンコ〉(1993年版)
〈パチンコ〉(1994年版)※『プロ野球選手写真名鑑』(日刊スポーツ出版社)
1995年版で〈マッチ棒を使った手品はプロ級〉に変わったが、現在パチンコをしていないと考えるのは早計である。日刊スポーツの選手名鑑はできる限り、具体的で詳細な情報を載せるように徹底されている。そのため、ありきたりな〈パチンコ〉が記載されなくなっただけで、今も続けている可能性がないとは言えない。
ヤクルトファンは、高津監督がパチンコで余計な運を使っていないことを願うのみである。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。