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令和の甲子園で最も愛された男…近江・山田陽翔が語る“冷静な自己評価”「今の自分のレベルで、それを言うのはおかしい」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNumber Web
posted2022/10/19 17:03
甲子園を湧かせ、主役級の活躍を見せた山田陽翔(近江)。ドラフトを直前に控えた今、近江で過ごした3年間とプロへの思いを聞いた
山田 大阪桐蔭には中学時代、(ボーイズリーグの)ジャパンで一緒だったやつらがいっぱいいるので。すごいやつらというよりは、顔見知りという感覚なんです。
「甲子園はさらに継投の時代に」
――この春の準決勝・浦和学院戦では、五回に左足にデッドボールを受けて悶絶した後も投げ続けました。あのときの気迫はすごかった。多賀監督には「走れませんけど、投げられます」と言ったとか。
山田 むちゃくちゃ痛かったです、あれ。包帯を巻いて腫れを抑えていたので、スパイクがパンパンで。ずっとジンジンしていました。でも、あそこで投げていなかったら、決勝にはいけてなかったかもしれないので。これからは甲子園はさらに継投の時代になっていくと思いますが。
――この夏、優勝した仙台育英がそうでしたもんね。
山田 はい。だから、僕は甲子園で11勝させてもらって、歴代3位となる奪三振記録(113奪三振)もつくらせてもらったんですけど、これからは、そういう数字は減っていくのかなという気がします。
――9月にアメリカ・フロリダで開催されたU-18W杯では、なかなか調子が上がらなかったようですが、ストッパーに起用され、適応が難しかったというのもあったのですか。
山田 それよりもコンディションですね。異国ということで、これまでと生活のリズムが変わるじゃないですか。暑くて、雨がすごく多くて。思い通りに練習ができなかった。ホテルの食事も、全然合わなくて。マカロニみたいなパスタとか、パンばっかりで、ぜんぜんおいしくないんです。みんなカップラーメンばっかり食べていました。お風呂も浅いので浸かれないし、水道の水も鉄錆の臭いがきつかったりして……。他のチームもホテルの水が出なかったりしたそうなんで条件は一緒だったと思うんですけど、僕の場合は、調整がうまくいかなかった。抑えがどうのこうのというよりは、完全に自分の責任ですね。なので、本当に悔しいです。
プロ野球でどんなピッチャーになりたいか?
――それでもスーパーラウンドの最終戦、アメリカとの試合では、ノーアウト満塁からリリーフして、見事三者凡退に切って取りました。やっぱり最後は結果を出す男なんだな、と。
山田 まあ言われっぱなしだと悔しいので。
――あまり似たようなタイプがいないので、どのようなプロ野球選手になるか想像つかないのですが、自分なりのイメージはありますか。
山田 特定の方に似ている、というのはないかもしれないですね。参考にしている方でいえば山岡泰輔投手(オリックス)。僕も山岡投手のように、体を大きく使って投げられればと。
――ゆくゆくはメジャーにも挑戦したいと思いますか。
山田 いや、今の自分のレベルで、それを言うのはおかしいので。それよりも一年でも長くプロでプレーしたいですね。それが今の一番の目標です。
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