4打席目…あの決断に「ヤジがすごかった」

――この試合のクライマックスは七回の攻防でした。浅野君の第4打席は、5-3で迎えた七回表、1アウト一、二塁の場面で巡ってきました。ここまで3打数3安打。ストレートも、変化球もとらえられ、山田君は投げる球がないのかなという印象もありました。

多賀　ここはもう私の判断で、申告敬遠だと。山田のことだから、勝負したがってるのはわかりました。「なんでやねん」という顔をしていましたから。そのあたりの本音は、直接本人に聞いてもらうのがいちばんいいんじゃないかな。甲子園も騒然としていましたよ。後ろからのヤジがすごかった。「おいおい、監督、勝負させろや！」って。でも、ここは監督が責任をとる場面。そこは山田もわかってくれたんじゃないですかね。

――これまで山田君に敬遠の指示を出したことはあるのですか。

多賀　選抜（大会）の長崎日大戦でありました。そのときは延長十回、1アウト二塁で一塁が空いていたんです。一打サヨナラの場面だったのですが、無失点に切り抜けてくれましたね。

―――塁が詰まった状態での敬遠は？

多賀　ないですね。僕の監督人生でも初めてです。ランナー一塁もない。あの場面、うちに抑えを任せられるピッチャーがおったら勝負させとったかもしれないですね。山田が打たれても、まだ勝負になるので。でも、あの試合、あそこで山田が浅野君に打たれたら勝負が決まってしまうと思った。高松商はやっぱり浅野君の存在感が大きすぎたので。

あの一発が終盤なら…「間違いなくやられていた」

――結果的に、浅野君を歩かせて1アウト満塁としたあと、2本のヒットと死球で3失点し、5-6と逆転を許してしまいます。

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