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メッシがいないバロンドール「建前は排除して本音だけで選ぶ」67年目の最高選手投票が今年、大変革を断行する理由とは? 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byGetty Images

posted2022/10/15 17:02

メッシがいないバロンドール「建前は排除して本音だけで選ぶ」67年目の最高選手投票が今年、大変革を断行する理由とは?<Number Web> photograph by Getty Images

昨年は2年連続7度目の受賞を果たしたメッシ。その彼が今年は候補にすら入っていない

――それにしても大きな改革でした。バロンドールは創設以来ずっと同じ選考基準を保ち続け、選考対象となる期間も1月から12月でしたから。

PF 65年間同じやり方を続けてきたが、今日のサッカーの在り方に対応するためには改革は不可欠と判断した。大きな変革だが毎年のように変えるわけではない。今後何年間もずっと続けていくための改革だ。

――改革の理由と経緯はわかりました。とてもラディカルであるようにも思いますが、過去においてシーズンが分断されていることによって受賞者が変わったと思われるケースはありましたか?

PF それはわからない。もともとバロンドールは、その年の最高選手を表彰するものだ。1956年に創設されたときの目的は、年間最優秀選手を選ぶことだった。その状況がずっと続いたが、やがて年間最優秀選手が必ずしもシーズン最高選手ではなくなった。年間で区切るとシーズンは2つに分断されるが、サッカーのリズムはカレンダーの1年ではなくシーズンだ。つまり変革は現状への回帰でありラディカルなものでは決してない。内実は変わっていないし、選考の過程もよりスペクタクルにはなっても基本的には同じで、FF誌編集部が作成した候補者リストをもとに投票委員たちが投票をおこなう。ジャーナリストによる投票という根底を貫く原理も1956年の制定当初から変わってはいない。そこは変わらずに、1年ではなくひとシーズンへと期間を変えただけだ。

――締め切り間近のパフォーマンスが投票に影響を与えるという事実がこれまではありましたが、それもある程度改善されるということですか?

PF それは事実上なくなるだろう。というのもシーズンが終わるのは6月から7月であり、投票は8月以降だ。投票の時期にチャンピオンズリーグなどのビッグゲームはない。女子の投票に関しては、今年は7月にEUROが開催されたから、チャンピオンズリーグ以上の影響を持つかもしれないが。

――秋(投票締め切り直前)のパフォーマンスが重要でなくなったのはひとつの進歩といえますか?

PF それが重要であると投票委員たちが考えていたかどうか私にはわからない。ただそう考える選手や委員がいてもおかしくはなかった。締め切り間近の時期に5~6点決めれば効果的であると。

個人表彰という本質

――もうひとつの大きな変更は選考の基準です。あなたが述べたように個人のパフォーマンスが最優先になりましたが、これまではコレクティブなパフォーマンスも同じ重さを持ちました。

PF 両者に差をつけたのは、建前は排除して本音だけで選ぼうという意志の現れだ。バロンドールは個人表彰であってコレクティブなタイトルではない。そうである以上、選ぶ基準も個人のパフォーマンスの方が重要であるハズだ。

 これも変革とはいえない。賞の本質に則って基準を明確にしたにすぎないからだ。すでにあった基準をさらにハッキリさせただけだ。これまでの基準で唯一外されたものが選手のキャリアだ。

【次ページ】 バロンドールの変革の歴史

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