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元大阪桐蔭・中川卓也が明かす“名門キャプテン”の凄まじい重圧「個人練習の記憶はほぼない」…あの仙台育英戦の悪夢をいかに乗り越えたか
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/10/18 11:00
大阪桐蔭「最強世代」キャプテン・中川卓也。春夏連覇から4年経った今、改めて当時のエピソードを語ってもらった
1打席目こそ重圧と緊張で体が固く、全試合でノーヒットだったが、2打席目以降はトータルで19打数7安打、3割6分8厘。「西谷先生から言葉をもらえて吹っ切れました」と、いつもの中川の打棒が蘇った。
100回大会の夏。連覇を決めた日
夏のフィナーレが訪れる。
金足農との決勝戦。13-2で迎えた9回表、最後の打球をライトの青地が捕った瞬間、張り詰めていた中川の心の糸が、やっと緩む。
「よかったぁ……やっと終わったぁ」
歓喜と安堵。応援団が陣取る三塁側アルプススタンドに向かって両手を突き上げた瞬間、中川の視界が一気に歪んだ。
「メンバー外の選手たちが泣きながら喜んでくれていて。あいつらがいなければ春夏連覇はできなかったって言えるくらい本当に感謝していたんで、一気にこみ上げてきました」
その場で泣き崩れた。選手たちに起こされ、西谷に肩を抱きよせられながら祝福されても、キャプテンは感涙を拭おうとしなかった。
「この先どうなるかわかりませんけど、野球人生どころか人生においても、大阪桐蔭での3年間が一番、達成感がありました」
100回目の夏の甲子園。
深紅の大優勝旗を気高く掲げ、歩く、大阪桐蔭のキャプテンがいた。
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