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甲子園“あの名門公立校”が2回戦敗退…やまびこ打線・池田高で見た“40年前との差”「今の高校野球は過渡期」敗退2日後、監督が記者に打ち明けた胸中

posted2025/08/03 11:01

 
甲子園“あの名門公立校”が2回戦敗退…やまびこ打線・池田高で見た“40年前との差”「今の高校野球は過渡期」敗退2日後、監督が記者に打ち明けた胸中<Number Web> photograph by NumberWeb

今夏の徳島大会。池田高校は2回戦で敗れた

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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1980年代初頭、甲子園夏春連覇。「バントや小技は不要。打てばいい」という超攻撃野球で社会現象を巻き起こした池田高校。過疎化・少子化が進む、山間の名門公立校は今――徳島現地で取材した。【全3回の2回目/第3回へ】

◆◆◆

 7月12日、8時30分。選手を乗せた2台のバスが球場に到着した。荷物が運び出されて空っぽになったバス。その前方にスマホを向けるファンがいた。「徳島県立池田高等学校」と書かれたバスステッカーを撮影しているのだ。

 池田は優勝候補ではない。どことなく小柄な選手が多い印象を受ける。それでも、ユニフォームの胸に記された「IKEDA」には、他の高校にない重みが宿っていた。

「実力が接近」の評…初戦の結果

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 2025年徳島大会は28校が出場し、すべての試合が徳島市のむつみスタジアムで行われる。そのオープニングゲームを飾るのが、池田と徳島科学技術の試合だった。地元・徳島新聞はプレビューで「実力が接近」と評していた。サングラスをかけた選手や、長髪の選手がいた科学技術に対して、池田は全員丸刈りのオールドスタイルで臨む。

 試合結果は前評判を覆すものとなった。1回裏に3番打者・小林凌真のセンター前適時打を皮切りに、死球、失策、盗塁、ヒットを絡めて打者一巡の猛攻で、いきなり10点を取る。そのまま相手を圧倒して14-4、5回コールド勝ち。

「監督の声、打席で聞こえてました。ショート方向に振り抜け、って」

 試合後の汗を拭いながら、7番ショート・宮本敦史が言った。左中間を割った2本の2塁打に、ボテボテのゴロをランニングスローで刺した好守備もあった。

 2日前の練習中、監督の井上力から幾度となく叱られていたことに触れた。「調子悪かったんですよ、あの日……でも、はい、気合入りました!」。いかにも、そう言っておくべきなんですよね?といういたずらっぽい笑みを浮かべた。「叱ったヤツが活躍してくれました」。井上の顔に安堵が浮かぶ。

【次ページ】 寮の夕飯「カレーうどん」

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