スッティロルはオーストリアとの国境に近い、小さな山間の町のクラブで、冬になれば辺りは一面雪で覆われてしまう。リーグ北端にある彼らのホームスタジアムには5500席しかないけれど、南端のパレルモとを結ぶ距離1500キロ超の間に、カルチョの豊かさが詰まっているように思えてならない。

ブッフォンは古巣パルマに帰っていまだ守護神

　セリエBにはもう一人、忘れてはならない世界王者がいる。パルマの現役正守護神ジャンルイジ・ブッフォンだ。

　代表ウィーク中に行われた『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙主催のイベントで、かつての戦友たちが集ったセリエBについて、44歳の鉄人GKは「いくつか思うところがある」と真剣な面持ちで語った。

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「古い戦友である彼らが今、2部リーグで敵チームの監督になって真剣勝負の場で相まみえる。素晴らしいことだ。サッカーの世界では、きちんと実力主義が生きていることの証明だよ。名字がブッフォンやカンナバーロだからといって、すぐにセリエAの監督を任せるというのは大間違いだ。指導者だってプレーヤーと同じように段階をきちんと踏みながら成長していくものだろう。（下位カテゴリーからキャリアを積んで這い上がろうとする）彼らの謙虚な姿勢はいつか報われると思うよ」

　そう言うと、ブッフォンは表情を崩し、W杯を制した自分たちをかつてイタリア国内でも爆発的人気を博した日本製アニメのスーパーロボットに擬えた。“ブッフォン節”完全炸裂である。

「今季のセリエBは“鋼鉄ジーグとUFOロボ・グレンダイザーが大集合！”みたいなお祭り騒ぎだよ（笑）」

「もし、俺のパルマと（インザーギ監督の）レッジーナ、（カンナバーロ監督の）ベネベントに（グロッソ監督の）フロジノーネがセリエA昇格プレーオフに残ったとする。そしたら、4チームでドイツW杯決勝の地ベルリンに行くんだ。何をやるかって？　そこでトーナメントをやって、俺たちの雌雄を決するんだ！」

　予測不可能の摩訶不思議リーグ、セリエBに一番ワクワクしているのは、おそらく世界王者の当人たちなのだ。

＜#1からつづく＞

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