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セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
44歳ブッフォン今も正守護神!“切られた監督”インザーギにカンナバーロは… W杯優勝イタリア戦士が「セリエBでお祭り騒ぎ(笑)」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byClaudio Villa/Getty Images
posted2022/10/09 17:01
2007年のブッフォンとインザーギ。ドイツW杯優勝戦士の2人は今、どうしている?
グロッソは、ドイツ大会準決勝で開催国相手に延長戦の劇的ゴールを叩き込み、フランスとの決勝戦では優勝を決める5本目のPKキッカーを務めた英雄だ。
だが、12年に引退し、指導者転向後は地方クラブを転々。セリエA采配経験は3年前の晩秋に3試合だけ。チーム半壊状態のブレシアで3戦3敗、すぐにクビを切られ屈辱を味わった。
昨年春、やはりW杯を制した盟友アレッサンドロ・ネスタを解任したフロジノーネから「ぜひ後任に」と請われた。指導者の世界では、義理を重んじ、職を失った戦友の後釜になることを拒否するケースがしばしば起きる。
だが、グロッソはあえてオファーを受け、ネスタのチームを引き継いだ。
カンナバーロがついに欧州で指導者初挑戦
ともに真剣に戦った仲間同士、敬意とライバル心が通じ合う。
「ピッポ(・インザーギ)ももちろん大事な友人だ。ただ、彼はサッカーの見方が独特で、試合の分析も他の人間と意見が異なることが多い。昨季、(セリエBで)対戦した後に言い合いしたこともあった。自分たちは皆、勝ちたい、上に行きたい、という向上心が強いんだよ」
序盤戦を終えたセリエBでは、予期せぬ波乱がいくつか起きた。
昨季の昇格プレーオフ決勝戦をモンツァと戦った強豪ピサが6節まで勝ち点わずか2で最下位に低迷すれば、元スペイン代表MFファブレガスを補強したコモが降格圏に沈むといった按配で、軌道修正を図りたいクラブは9月下旬の代表ウィークを利用して、次々に監督を交代させた。
中でも、とびきりのビッグネームを連れてきたのが、3季ぶりのセリエA昇格を目指すベネベントだ。彼らの切り札は、ドイツW杯優勝チームの主将で2006年バロンドール受賞者、ファビオ・カンナバーロだった。
13年にサウジアラビアでコーチ業を始めたカンナバーロは中国に渡り、名将マルチェロ・リッピ直系の弟子として広州恒大の監督に。中国超級リーグ制覇やACLの経験もあるが、欧州のクラブチームを指揮するのは初挑戦だ。
ランニングで人の後ろを走るな、前を走れ
中国時代のカンナバーロは、手取り年俸1200万ユーロ(※現在レートで約17億円)を受け取っていた。しかし、地元紙の報道によると、ベネベントでもらえる額は「100分の1をわずかに超える程度」らしい。
年俸の低さは我慢できる。だが、世界のサッカー選手の頂点に立った男にとって、自分のチームが貧弱な練習環境しか持てないのは断じて許せない。カンナバーロはオファー受諾にあたり、オレステ・ビゴリート会長に「練習グラウンドを整備すること」を約束させた。