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豪快すぎるフォームに巨人らが熱視線? 意見が分かれる最速159キロ右腕の指名はあるか「あの球速は天性。コントロールさえ直せれば」 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2022/10/06 06:00

豪快すぎるフォームに巨人らが熱視線? 意見が分かれる最速159キロ右腕の指名はあるか「あの球速は天性。コントロールさえ直せれば」<Number Web> photograph by Yu Takagi

「あの球速は天性のもの」とNPBスカウトから注目を集める明星大4年・谷井一郎。個性を伸ばす指導も成長を後押しした

 昨季まで明星大の名誉監督を務め、今季から復帰した浜井澒丈(はまい・ひろたけ/74歳)監督は、大昭和製紙やローソン(ともに現在は廃部)など強豪で指揮を執ってきたベテラン指揮官だ。「試合に勝つためにもう少しまとまって欲しいと思ったことはないのですか?」と尋ねると、表情ひとつ変えずに寛大な答えが返ってきた。

「試合をまとめる投手は他にもいますから。谷井に関しては(登板機会を与え)試合の中で崩れないようにしてやりたいと思ってやってきました。責任感を与えないと、いつまで経っても育ちません。そして彼はストレートが命。暴れてもいいから自分で感覚を掴めと言ってきました。変化球で逃げることや遅い球を投げろと言ったことは一度もありません。みんなが騒いでくれるのは、あの速さがあってこそですからね」

 明星大・佐藤コビィ主将(4年)も「すごい努力家。一つひとつに手を抜かないですし、日頃から野球のことをよく勉強している。ストイックさはチームでナンバーワンです」と、同期ながら感心する存在だと言う。

「あれが当たったら骨が折れそうだな」

 そんな周囲の温かい目に助けられてきた谷井にも変化が訪れる。

 10月2日の成城大戦。打者を迎える前の投球練習では豪速球ながらすべてボール球で、相手ベンチから「あれが当たったら(骨が)折れそうだな」との声も漏れていたが、8回から登板すると見事な修正力を発揮した。

 先頭打者の一塁線へのセーフティーバントをきちんとベースカバーに入りアウトに収めると、続く打者には四球。以前観た際の乱調が脳裏に浮かんだが、続く打者を三振に抑えると最後の打者もセカンドゴロに抑えて1回を無安打に抑えてチームの勝利に貢献。投球はすべてストレートで最速153キロを計測した。

 試合後、谷井自身も「球が浮いていたので、もっと前でリリースして低めに伸びるボールを投げられるように意識しました。夏のオープン戦からそういうことができるようになりました」と振り返り、走者が出て足を高く上げられないクイックフォームでも「球速が落ちることが無くなりました」と成長を実感した。

 プロ志望届も既に提出済。浜井監督も「ブルペンではしっかりしてきているので、軸さえしっかりすれば暴れないようになると思います。あの球速はやっぱり魅力ですから、どこかの球団に育成選手でもと思っています」と期待をかける。

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