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ドラフト1位候補右腕・伊藤大海、波乱万丈の大学野球を終えて「4年前に考えていた姿に近づけた」
posted2020/10/17 17:02
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
勝者も敗者もいないグラウンドで、ドラフト1位候補の右腕・伊藤大海(ひろみ/苫小牧駒澤大)は波乱万丈の大学野球人生を終えた。
新型コロナウイルス感染拡大により中止となった明治神宮大会。そのため、星槎道都大と苫小牧駒澤大の北海道代表決定戦(2戦先勝方式)は北海道地区大学王座決定戦としてワンマッチに変更され、10月12日に苫小牧市の「とましんスタジアム」で行われた。
時折、雨も降り注ぐ中、その先に“全国大会”がなくても両校は死力を尽くして戦い、9回終わって3-3で引き分けと、好ゲームを展開した。
伊藤は「モチベーションは難しい部分はありましたが他の大学よりも1試合多くできることに感謝して戦いました」と気丈に話した。また、「4年生中心で頑張れて良かったです」とも語り、1歳下の同級生たちとの健闘をしみじみと振り返った。
センバツ出場、駒大退学、侍ジャパン
駒大苫小牧高2年春に甲子園に出場し、完封勝利を挙げるなど活躍した伊藤は東都大学リーグの名門・駒澤大に進学。大学でも1年春から登板を重ねていたが10月に退学し、翌春から苫小牧駒澤大に再入学した。
転校後1年間は公式戦に出場できず、また大学野球をプレーできるのは「4年間のみ」という旨の規約もあるため、転校1年目はリーグ戦登録をせずに過ごした。それでも2年春からその才能を発揮して全日本大学野球選手権に導くと、同大初の「全国1勝」を自身の完投勝利で飾った。
さらに侍ジャパン大学代表にも選出され、主に守護神として国際大会は15試合21回2/3を投げて自責点はわずかに1点。最速156キロのストレートとスライダー、縦に落ちる変化球、抜群のマウンド度胸を武器に試合終盤に好投した。大学では先発を任され、そこでも150キロを超える球を次々に投げて相手を圧倒し続けてきた。