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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
楢崎正剛に聞いてみた「日本人GKには何が足りない?」…W杯の対戦相手は“最高の比較対象”「ノイアーやナバスとやれるのはチャンス」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/10/05 17:26
4大会連続でW杯メンバーに選出され、Jリーグ通算660試合出場を果たしたレジェンドに、「日本人GKの現在地」について話を訊いた
――欧州クラブの練習風景を見ていると、GKの個別練習以上に、フィールドプレーヤーとともにトレーニングする時間が長い印象があります。
「GKがチームの一部として取り込まれているかどうかという意味では、ヨーロッパのほうが『11人のうちの1人』という意識は強いなと感じますね。でも、日本でも多少のタイムラグはあれ、そういう流れになってきているとは思います。(イビチャ・)オシムさんの代表チームでも、フィールドプレーヤーと一緒に練習して、同じように頭を使うことを求められていました。あれはオシムさんのオリジナルな面もあったと思いますが、ヨーロッパの流れを汲みつつ、日本人の特徴を活かそうとしたチームづくりだったと思います」
日本人GKの課題とストロングポイント
――そういった文脈で、日本でも欧州のようにGKに注目が集まっている……という変化は感じますか?
「一般層の変化はそれほど感じないけれど、サッカー界においては、GKの重要性に対する認識はすごく広がっているな、と。でも、『GKにはこんな仕事がありますよ』ということは、もっともっと広めないといけないと思っています」
――FK時の壁を作ったり、最後尾からゲームをコントロールしたり、シュートを止める以外にも多くの仕事がありますよね。
「すべてをわかってもらうのは難しいですけどね。それでもサッカー界でGKへの理解が深まっていると感じられるのは嬉しいことです」
――日本人GKの課題とストロングポイントはどんなところにあると思いますか?
「今、日本では若い年代からGKが専門的なスキルを学ぶ環境が整備され、論理的な指導が行き届き始めている最中です。高いレベルで戦えるテクニックを身につけることプラス、試合というランダムな事象が起きる環境のなかで身につけたものを出せるかというのが、これからの日本人選手の課題かもしれません。しかし、ダイビングひとつとっても、細かい部分まで突き詰められる勤勉さは日本人選手の強みになると思います。GKに限りませんが、ディテールにこだわってプレーすることは日本人の特長ですから」