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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
楢崎正剛に聞いてみた「日本人GKには何が足りない?」…W杯の対戦相手は“最高の比較対象”「ノイアーやナバスとやれるのはチャンス」
posted2022/10/05 17:26
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Kiichi Matsumoto
2019年1月に現役引退を発表し、名古屋グランパスのクラブスペシャルフェローに就任した楢崎正剛さん。2020年からはアカデミーのGKコーチを務め、現在はユースチームのGKたちの育成に携わっている。
インタビュー後編では、11月に迫ったW杯カタール大会について、そして日本におけるGKの現状と未来像について話を訊いた。(全2回の2回目/前編へ)
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GKを指導する現場で感じる「難しさ」
――現在は名古屋グランパスユースでGKコーチを務めていらっしゃいますが、指導の現場は面白いですか?
「今の自分の仕事が『サッカ―を教える』というふうに表現するのが正しいのかどうか、よくわからないんです。というのも、ユース世代というのは、現代サッカーではプロになってもおかしくない年齢なので。しかもグランパスのユースだから、レベルも比較的高いし、吸収しようとする意欲と、吸収する力を持っています。選手たちの成長を感じる機会も多いので、そこに触れる面白さは日々感じていますよ。と同時に、難しさも痛感しています」
――難しさというのは……。
「難しいことのほうが多いくらいです。現役として長くプレーしてきたんだから、考えなくてもできると思ってしまいがちですけどね。現役時代は特にそういうふうに思うかもしれない。でも、コーチの仕事はただ練習させるだけじゃないし、年代によっていろいろな配慮も必要なので、決して単純なものではないですね」
――楢崎さんは高校時代、GKコーチがいない環境だったと思うのですが、そういう意味で高校年代に伝えるべきことはどんなものがありますか?
「自分の経験上『これはやってきてよかったな』と思うことは当然やりますし、同時に、自分はやってこなかったけれど、必要だと思うことも伝えています。トレーニングの進歩はもちろん、GKに求められる能力はどんどん増えてきていますから」
――現役時代の経験だけでは指導できない、と。新しい要素として、具体的にはどんなことが挙げられるでしょうか?
「サッカーがスピーディーになっているなかで、単純にキーパーが止めるということに関しても、反応や反射に加えて、全身を使ってブロックすることを技術として磨く必要性は高くなりましたね。極端な話、顔面で止めることですら技術の範疇というか。僕が子どものころなら、『逃げるな!』というような感じでしたけど、今はテクニックのひとつとして身につけるものになっています」