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「すぐに学校にクレームが来る時代です…」仙台育英・須江監督と雑談「高校生って、ワチャワチャしたい」 話して気づいた“意外な勝因” 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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posted2022/08/29 17:04

「すぐに学校にクレームが来る時代です…」仙台育英・須江監督と雑談「高校生って、ワチャワチャしたい」 話して気づいた“意外な勝因”<Number Web> photograph by KYODO

東北勢初優勝を果たした仙台育英、108年目にして悲願の「白河越え」を達成。筆者はテレビ収録で須江航監督と再会した

「朝8時開始だと、夜8時ぐらいに寝て、起床も3時、4時になりますから。それはそれで、選手たちはたいへんなんですけど、今回は予選(朝9時開始)からそうだったので、(良い意味での)慣れもあったと思います。それ以上に大きいのは、生活のリズムが一定になること。第4試合の次が第1試合になったりすると、調整が難しいんです」

 こちらから見ると、早起きたいへんだろうなぁ……と心配になる。しかし、現場の方たちにとっては、そうでもないらしい。

「8時開始で10時台に試合が終わると、インタビューがあっても昼ごろ宿舎に帰れて、食事して。午後1時ぐらいから休養の時間にあてられる。疲れの抜け方がぜんぜん違うんです」

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 そういえば……と、思い出したことがあった。甲子園に何度も出場していたある監督さんが、こんな話をしておられた。

「たとえば第4試合だと、終わりが夜になるでしょ。メシ食って、すぐ寝て、まだ試合の興奮が抜けきれてないから、気持ちが高ぶっちゃって寝られない。結局、熟睡できないままで、朝になっちゃったりね」

第3、第4試合の意外な“ツラさ”

 もう1つ、第1試合でありがたかったのが、「試合待ち」がなかったことだそうだ。

「第1試合だと球場に着いてすぐ、中に入れますから、すごくありがたい。逆に第3、第4試合になると、球場入りの時間調整がすごく難しいんで……神経使うんです」

 第4試合だからといって、チームは夕方から球場に出掛けていくわけじゃない。

 第2試合の途中、この夏の甲子園なら、昼過ぎぐらいに球場に着いて、駐車場のバスの中で待機。第3試合のチームがグラウンドに入るのと同時に球場入りして、室内で練習し、試合終了を待つ。

 もし第2試合が延長になると、バスの中で待たねばならないし、第3試合が延びれば、室内練習場で待機。これが、精神的にすごく消耗するそうだ――試合前の辛い時間を経験したある選手が、そんな話をしてくれたことがある。

決勝戦、プレッシャーかかったでしょ?

「準々決勝の前日から、隔日で休養日があったこともありがたかったですね。本来は、雨で順延になった分の予備日ではあったんですけど、今年は順延がなかった。宿舎でも、ほとんど部屋にこもりっきりでしたから、いろいろな意味で、選手たちも疲れてたはずなんです」

 ホテルライフは、「野球」という要素がなければ、コロナのホテル療養者のような生活であったという。

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