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「すぐに学校にクレームが来る時代です…」仙台育英・須江監督と雑談「高校生って、ワチャワチャしたい」 話して気づいた“意外な勝因”
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2022/08/29 17:04
東北勢初優勝を果たした仙台育英、108年目にして悲願の「白河越え」を達成。筆者はテレビ収録で須江航監督と再会した
「試合のない日には割り当てられたグラウンドで、1日2時間、練習できるんですけど、その時の選手たちがすごくイキイキして、すごくフレッシュに見えたんです。思いっきり酸素吸い込んで、下がっていた体内の酸素濃度を思いっきり上げてるみたいな……実際、あの2時間で、ずいぶんリフレッシュできたと思いますよ、選手たちは」
と、そこまで話して「あ、もしかしたら……」と、須江監督がなにかを探すような顔になった。
「決勝戦、プレッシャーかかったでしょ?って、あちこちで言われたんですよね。でも……」
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仙台育英の優勝には、“東北勢初”という悲願もかかっていたのだ。
「なぜか、選手たちも私も決勝戦、ぜんぜんプレッシャーかかってなかったんですよ。試合前の円陣の時も、ぜんぜんノンプレッシャーで、なんだか明日も試合あるみたいだよなぁ……とか、みんなで言ってて」
決勝戦特有のこわばりも、へんな気負いもなく、準決勝までと同じように打線をつなぎ、2人の投手で下関国際を破ってみせた仙台育英。
「もしかしたら、甲子園の決勝のプレッシャーなんかより、宿舎の部屋を出て、グラウンドで思いっきり野球が出来ることのほうが嬉しいって。そっちのほうに、選手たちの気持ちの重心があったのかもしれないですね」
「すぐに学校にクレームが来る世の中です」
青春って、密なので。
優勝インタビューで須江監督が発したひと言が、日本じゅうを駆け巡った。
「高校生ぐらいの時って、ワチャワチャしたいんですよ。そういう意味です」
ワチャワチャ……仙台の言葉で、みんなで集まってワイワイ、ガヤガヤ、そんなような意味だそうだ。