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大谷翔平のWBC出場には”ウルトラC”が必要?「出たい気持ちはもちろんあります」 栗山監督が熱視線も…ダルビッシュが示す難しさとは
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2022/08/22 11:00

エンゼルスの大谷翔平は来年開催のWBCに出場するのか? チームの去就も鍵を握るだろう
この第1回大会ではシアトル・マリナーズのイチロー外野手がチームを引っ張り、見事に世界一に輝いたことで、WBCという大会そのものも日本で認知度が一気にアップ。同時に参加して世界一に輝いたイチローさんとの比較で、ネット等では松井さんを“非国民”扱いするような書き込みがあったのも事実だった。
メジャーでは不参加の決断が当たり前のように
ただ現実的には2人のチーム内での立場は全く違っていたことが、決断をわけた。そしてその後は同じような境遇に立たされているメジャーリーガーの間では、むしろ不参加という決断が当たり前のようにもなっている。
楽天時代の09年と13年の第2、3回大会に出場した田中将大投手も、ヤンキース移籍後の17年に行われた第4回大会は不参加。
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「いろんな状況を自分で考えたときに、なかなか参加するのは難しいなということなので。不参加という形をとらせていただくことになりました」
こう理由を説明した。
このときにはシカゴ・カブスに所属していた上原浩治投手とテキサス・レンジャースのダルビッシュも不参加。メジャーリーガーの参加はヒューストン・アストロズの青木宣親外野手(現ヤクルト)1人のみで、投手の参加はゼロだった。これも投手の参加の難しさを物語るものである。
大谷が意欲的でも、チームが許すか?
そこで大谷である。
不参加を決断するとすれば、その要因はくすぶり続ける来季の去就問題となるのは確実だ。
もちろんエンゼルスは引き止めに躍起だ。しかし今シーズン中もトレード期限のギリギリまで移籍の可能性が報じられたように、このオフに再び移籍騒動が再燃するのは必至の情勢でもある。
エンゼルスとの残留交渉がうまくいけばいいが、もし決裂すれば、FA権を手にする前にトレードされる可能性は十二分にある。そしてもしそこで移籍が実現し、来季は新たなチームでの再出発となれば、まさにあの時の松井さんと同じ立場に立たされることになる。
大谷自身が出場に意欲的でも、移籍1年目の選手が早々にチームから離脱して、キャンプにも参加せずにWBCに出場することはチームが許さないだろう。
また、もしエンゼルスに残留したケースは、ペリー・ミナシアンGMは「彼がやりたいことであれば妨げはしない」と出場を容認する発言をしているが、果たして日本ラウンドからの参加が可能になるのかは不透明だ。今回、2次ラウンドは日本で開催される。日本代表が米国に乗り込むのは2次ラウンドを勝ち上がって、現地時間3月19日から始まる決勝ラウンドからとなる。