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大谷翔平のWBC出場には”ウルトラC”が必要?「出たい気持ちはもちろんあります」 栗山監督が熱視線も…ダルビッシュが示す難しさとは 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2022/08/22 11:00

大谷翔平のWBC出場には”ウルトラC”が必要?「出たい気持ちはもちろんあります」 栗山監督が熱視線も…ダルビッシュが示す難しさとは<Number Web> photograph by Getty Images

エンゼルスの大谷翔平は来年開催のWBCに出場するのか? チームの去就も鍵を握るだろう

 事前合宿を入れれば2月後半からチームを離れることになり、たとえエンゼルスにいたとしても、それだけの長期離脱が可能かどうかが1つだ。またそもそもダルビッシュが指摘するように、投手としての登板は負担が大きく、手術歴のある大谷の場合は、どのチームでも投手としての参加には難色を示すと言われている。だとすれば結局、大谷をWBCで観ることができそうなのは、エンゼルスに残留して野手として参加するケースだけかもしれない。

大谷が参加するためのウルトラCの方法とは?

 ただその中でウルトラC的な方法がなくもない。

 それは日本が決勝ラウンドに進出して、米国でキャンプを送る大谷やダルビッシュは、その決勝ラウンドから合流するという方法だ。これなら拘束期間も短く、もし新チームに移っていた場合にも実現できる可能性は出てくる。しかもこの場合には準決勝か決勝で先発投手として登板(もちろんそのケースでは大谷ルールで指名打者出場も考えられるだろう)することも考えられるのかもしれない。

 ただそういうチーム編成をするとなれば、予選を勝ち抜いた選手の中から、外れる選手(おそらく先発投手の誰かになるのだろう)も出てくる。チームの「和」を重んじるのが、侍ジャパンの一貫した伝統で、ケガでの離脱以外で選手を入れ替えることはこれまでもほぼなかった。

 そういう異例の決断を栗山監督ができるかどうか。そこが大谷やダルビッシュが参加するための、1つのポイントになるかもしれない。

 視察を終えた栗山監督は今後の選手選考について大谷やダルビッシュの前向きな言葉に「参った。ゼロに戻った」と明かした上で「オレは来年2月のギリギリまで考えたいけれど、年内には決めないと間に合わないことが多いのではないかな」と見通しを示していた。

 もちろん日の丸をつけた大谷のプレーは観てみたい。ただ、ダルビッシュが語るように、あまりに出場への期待が高まりすぎることは、大谷の来季の不安につながる可能性もある。そのことはファンもメディアも理解しなければならないだろう。

 様々な障害の中で、最善の答えを栗山監督がどう導き出すのか。ある意味、代表監督にとってそれは最も重い仕事なのかもしれない。
 

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