甲子園の風BACK NUMBER
村上宗隆が6打数4三振…高校時代の“天敵”が語る弱点「デッドボールでめっちゃ睨まれました(笑)」「ただ、プロになって…」
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byKento Kawabata
posted2022/08/23 11:03
3年夏の大会後に交流が始まった村上と川端(右)。川端は高校時代、村上を6打数4三振に抑えていたが、その理由と今の村上について聞くと…
「プロ行けそう?」
「無理ちゃうかな」
そう答えるのがやっとだった。また高1夏の時のように、テレビ越しで見る今の村上の勇姿は、川端の目にどう映っているのだろうか。
「一番驚いたのが、外角をホームランにできるようになっていたことです。高校の時は当てに行くイメージで、力が入っていない感じだったんですけど、プロになって(バットの)ヘッドを返して逆方向にホームランできるようになっていてビックリしました。体も二回りくらい大きくなっている気がします。リーダーシップやキャプテンシーは変わっていないですね。若手なのに、先頭に立って声を出したり、チームを鼓舞することをヤクルトでもやっているのが凄いな、と思います」
川端もプロ入りの夢を諦めたわけではない。今は20メートルほどの距離を4割程度の力で投げられるまでに回復。来春の社会人球界入りを目指して、リハビリと並行してトレーニングに明け暮れる日々を送る。
今の村上と対戦するとしたら…?
村上の打席をテレビで見る時、攻め方や配球を組み立てることもあるという。
「僕だったらどう投げるか考えたりします。全然抑えられるイメージが湧かないくらい凄いところまでいっちゃってますけど(笑)」
高校時代は外角一辺倒だった。今の村上に対して、ウイニングショットはどのコースを選択するのだろうか。
「あえて内角高めぐらいに投げたいです。今は内角があまり打てていないイメージがあるんですけど、どうですかね。またデッドボールになったら全力で謝ります(笑)。もう次は睨まれないと思うんで」
あの日、内角球で雌雄を決することはできなかった。今度こそ、胸元をえぐって三振を奪う。村上と再び18.44メートルの空間で相まみえる日がくることを信じて――。川端は懸命に再起の時をうかがう。
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