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あなたも絶対に聴いた“あの応援曲”が新たな魔曲に? 夏の甲子園ブラバン秘話…ジョジョ&鎌倉殿の大阪桐蔭、「山田陽翔用の新曲」近江も!

posted2022/08/23 11:00

 
あなたも絶対に聴いた“あの応援曲”が新たな魔曲に? 夏の甲子園ブラバン秘話…ジョジョ&鎌倉殿の大阪桐蔭、「山田陽翔用の新曲」近江も!<Number Web> photograph by JMPA

夏の甲子園が終わった。今年印象に残った応援を振り返ってみたい(写真は準優勝の下関国際)

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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 仙台育英が東北勢初の優勝を遂げ、第104回全国高校野球選手権大会が閉幕した。コロナ禍以降、感染対策で禁止されていた年もあったブラバン応援も本格的に復活。この3年間、大会やイベント、演奏会など、さまざまな行事が中止となった吹奏楽部の生徒たちにとっても、思い出深い夏になったのではないだろうか。

 吹奏楽部出身者として、毎回アルプススタンドの演奏を楽しみに甲子園観戦している筆者にとって、今回も興味深い応援が盛り沢山。あらためて、今夏印象に残った応援を振り返ってみたい。

下関国際でも『V-ROAD』…ボーカルに直撃

 まずは、決勝戦で熱戦を繰り広げた下関国際のスタンドから、何度も流れたチャンステーマ『V-ROAD』。もともとは、長崎のJリーグチーム、V・ファーレン長崎の応援チャントとして、バンドFUNKISTが作曲したものだ。同曲を山口県の下関国際が応援に取り入れた理由――以前野球部の部員に聞いたところ、そのルーツは2018年のセンバツにあった。

 2回戦で長崎の創成館と対戦した下関国際は1-3で敗れた。その際、創成館が応援曲として使っていた『V-ROAD』に惹かれ、「自分たちもこの曲で戦いたい」と応援に取り入れたという。

 そもそも、この曲はどのような経緯で作られたのか。FUNKISTボーカルの染谷西郷氏に経緯を聞いた。

「『V-ROAD』は、今から8年ほど前、V・ファーレン長崎のホームゲームでライブをさせていただいた際に、勝手に作った応援歌としてお披露目した曲です。その数年後、チームの親会社の経営赤字などで、選手の皆さんもモチベーションを失いかけ、チームもサポーターもバラバラの状態に陥ってしまった時期がありました。『みんなの心を1つにしたい』と願ったサポーターの方が、『V-ROAD』を一緒に歌うことを呼びかけてくれて、応援チャントとして使われるようになった、というのがことの経緯です」(染谷氏)

 その後、2018年のセンバツで創成館が応援に使ったことがきっかけで、『V-ROAD』は他の学校にも広まっていく。

「創成館のみなさんが甲子園で使ってくれて、そこから他の学校にも広がっていきました。僕らとしては、こんな風に広まっていくなんて予想もしていなかったことで、ただただ驚いています」(染谷氏)

 今回、下関国際がチャンステーマとして『V-ROAD』を使用し、“横綱”大阪桐蔭を破るなど、快進撃を続けた。染谷氏も、テレビの前で毎試合固唾を飲んで見守っていたという。

「正直、出場校のアルプススタンドから自分たちの楽曲が流れているという事実には、驚きと感動の気持ちでいっぱいです。一度きりの夏の甲子園、球児の皆さんの背中を、微力ではありますが、音楽で後押し出来る事に関して喜びを感じています」(染谷氏)

“ジョジョ”も3校、ロッテ応援曲は全国区

『サウスポー』や『狙いうち』『ルパン三世のテーマ』『宇宙戦艦ヤマト』など、懐かしの昭和歌謡やアニメ曲が、令和になっても脈々と受け継がれている高校野球応援。これらの懐メロが流れない日はないといっても過言ではないが、近年のヒット曲や人気曲もちゃんとラインナップに組み込まれている。

 今回印象的だったのは、『ジョジョの奇妙な冒険』の曲を演奏する学校が3校あったこと。漫画35周年、アニメ10周年の節目を迎えた同作品のBGMは多数あるが、今夏の応援では、特にファンの間で“処刑用BGM”と呼ばれる曲の人気が高く、第3部「スターダストクルセイダース」を大阪桐蔭が、第5部「黄金の風」を浜田、札幌大谷がそれぞれ演奏。地方大会でも応援に取り入れる学校が複数あり、SNSでも話題になっていた。

 ジョジョについて知らない筆者は、そもそも“処刑用BGM”の意味がわからない。「処刑シーンで使われている音楽」と思いきや、そうではないらしく、大のジョジョ好きである友人によれば……。

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