甲子園の風BACK NUMBER
村上宗隆が6打数4三振…高校時代の“天敵”が語る弱点「デッドボールでめっちゃ睨まれました(笑)」「ただ、プロになって…」
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byKento Kawabata
posted2022/08/23 11:03
3年夏の大会後に交流が始まった村上と川端(右)。川端は高校時代、村上を6打数4三振に抑えていたが、その理由と今の村上について聞くと…
「夏の県大会前までは、僕と田浦が交互で先発していたと思うんですけど、調子が悪かった県大会からは僕がずっと先発でした。鍛治舎監督の具体的な意図はくみ取れないですけど、長い回を投げて調子を取り戻すというか、調整の意味も込めて、というふうに僕は捉えています」
鍛治舎監督と再び甲子園に帰る――。その気持ちが空回りしたのか、立ち上がりの初回裏を攻められる。1死一塁、村上に内野安打を許すと、2死満塁から押し出し死球。先制を許してしまう。
川端が立ち返った原点「外は打てない」
2回表にすぐさま同点に追いつくと、尻上がりに調子を上げ、3回表には初回のお返しとばかり村上を空振り三振に抑えた。そして1-1のまま迎えた5回裏、2死一、三塁のピンチを迎えたところで、村上とこの日3度目の対戦を迎えた。
試合の流れを左右しかねない大事な場面で、川端は原点に立ち返った。「外は打てない」――。思い切り腕を振って投げ込んだウイニングショットは、対策通りの外角真っ直ぐだった。
村上のバットは空を切った。外角を攻め込まれていたことは当然分かっていた。昨秋の死球。内角を強く意識させられたあの1球さえなければ、迷いなく右足を踏み込み、高校通算53号となる勝ち越し3ランを放っていたかもしれない。
ただ、川端がそれを許さなかった。糸を引くような直球が、幸地竜弥のキャッチャーミットに収まると、小さく両手でガッツポーズした。高校時代の川端vs.村上は、空振り三振に始まり、空振り三振で終わった。
7回裏からは田浦が2番手で登板。8回裏、村上から見逃し三振を奪う力投を見せると、9回表に2点を勝ち越した秀岳館が3-1で4季連続の甲子園出場を決めた。
聖地への道程には常に九州学院が、村上がいた。もう、高校で戦うことはない。閉会式を終え、藤崎台球場の外で一緒に写真を撮ったところから交流が始まった。引退後には花火大会にも行き、親交を深めた。
村上はヤクルトにドラフト1位で入団。川端は立教大学へ進学した後は、寮が同じ埼玉県内にあったこともあり、2人で何度か食事に出かけた。「プロはどう?とか聞いたりしていました。お互いの近況報告ですね」。4年後には自分が同じ舞台に上がっていることを信じて疑わなかった。
プロ志望届を提出した時、村上から来たLINE
川端は今、リハビリの最中にいる。立教大学では1年春の東京六大学リーグ戦で2勝を挙げるなど、順調なスタートを切ったが、フォームを崩した影響で2年秋を最後に登板なし。昨秋にはプロ志望届を提出も指名はかからず、その後、左肘痛をかばい続けた影響から、トミー・ジョン手術に踏み切った。
プロ志望届を提出した時、村上からLINEで連絡がきた。